大和中央自転車道は、奈良県磯城郡川西町下永から橿原市久米町までを結ぶ約21kmの大規模自転車道です。天皇家始まりの地橿原畝傍や江戸戦国の町並みを残す今井町等、歴史を感じることができます。2023年1月3日走破。
大和中央自転車道の基本情報
正式名称は奈良県道273号大和郡山田原本橿原自転車道線。
通称大和中央自転車道。
計画延長は21.2km。平成16年(2004年)時点では10km近くが未整備。その後も全線が2011年制定の奈良まほろばサイク∞リング(略称:ならクル)のC8の半分、C22、C5の半分として整備がされていましたが、令和3年(2021年)4月1日に「未整備区間であった川西保田の開通をもって」京奈和自転車道が開通したとされているため、完成は令和3年(2021年)になると思われます。
起点 | 奈良県磯城郡川西町下永(県立浄化センター公園 南東) |
終点 | 奈良県橿原市久米町(橿原神宮前駅前) |
起点最寄り駅は近鉄橿原線ファミリー公園駅で700mほど。終点最寄り駅は同じく近鉄橿原線橿原神具前駅で、駅前が終点です。
奈良県磯城郡川西町下永の公園南東部分を起点とし、飛鳥川沿いを南下。江戸風情の残る今井町横を抜け、神武天皇陵前を通り、橿原神宮の大鳥居横を抜けた後、終点である橿原市久米町の橿原神宮駅前へ至ります。
途中川西保田区間で2.5kmほど京奈和自転車道(奈良県道280号大和青垣吉野川自転車道線)と路線を重複します。飛鳥葛城自転車道(奈良県道274号明日香大和郡山自転車道線)とも同区間で200m程度まで接近し、橿原市四条町の綏靖天皇桃花鳥田丘上陵近辺にて300mほど区間重複・接続しています。
大和中央自転車道を走る
前回、奈良走破クエストで時間切れのため断念した大和中央自転車道。年も開けた1月3日、前年度のやり残し回収と橿原神宮初詣を兼ねて大和自転車道へ乗り込みます。激混み時間の橿原神宮は避けたかたっため、終点からの逆走ルートを取ります。阪神・近鉄と乗り継いでおおよそ1時間半、橿原神宮駅前からスタートです。
終点にあたる表示版は駅前ロータリーに立っているのですぐわかります。早速スタート……と言いたいところですが、自転車道のコースは橿原神宮にまっすぐ向かっており、三が日のこの日は人がごった返して交通規制が掛かっているのでしばらく押し歩きです。
自転車道は普通に橿原神宮の眼の前を通り、第一鳥居の前へ。一旦自転車を留めて初詣へ。さすがに持っていくのは無理。
橿原神宮、日本始まりの地として初代神武天皇と皇后を祀っていますが、創建は明治時代とわりと新しい神社なんですよね。引いたおみくじは「大吉」と幸先の良さに感謝しつつ、コースへ戻ります。この時はまだ、知らなかったのです。後々、あんなことになるなんて……。
このあたりは非常に緑が多い道で、当日は人も多いので気をつけつつ進みます。京奈和を除く全体に言えますが、基本的に自転車道の舗装はグリーン。ならクルで言うとC5になります。
少々北上すると前回通った飛鳥葛城自転車道との重複区間へ。大和高田バイパスを潜って北に抜けるのですが、ちょっと渡り方がややこしいので案内表示を注視します。
北に抜けると普通の歩道っぽい道を走りますが、数百mも走ると町並みが明らかに変わってきます。このあたりはかつての超高級住宅街、今も江戸の町並みの風情を残す今井町になります。築300年を数えるような文化財指定を受けた建物が立ち並び、万一家事にでもなろうものならえらいことになる区域です。京都の景観保護よろしく、現代施設も町並みに溶け込むような体裁になっています。
横道から戻って再び自転車道へ。今井町横を抜けると飛鳥川沿いにぶつかり、しばらくの間はひたすら川沿いを走ることになります。
ちょいちょい橋を渡って右岸左岸をスイッチするのですが、飛鳥川沿いを走るのに代わりはありません。案内板はしっかり出てるので指示に従って走ります。
道はある程度整備されているものの、年季が入って荒れているところも多く、ほぼダート状態で結構な衝撃が来るところもあります。そして、これが後々の悲劇を生むのでした。
奈良の自転車道全体の共通点ですが、時代ごとにめっちゃ力入れて整備するので、案内図とか休憩所の様式に一貫性が全くありません。同時期に整備されたものは規格が共通してるので、世代は見えるんですけれども。
磯城郡川西町保田に入ったところで県道36号線に乗り換え、飛鳥川沿いを離れると共に京奈和自転車道との重複区間へ入ります。とはいえ、このあたりだいぶやっつけで整備した感があり、標識はあるものの……といったところ。
県道36号に沿って東進し、寺川を越えて県道108号に乗り換え北上するのですが、ここでコースミス。すぐ右折しなければならないところを、京奈和のラインに誘導されて浄化センターの北側まで数km進んでしまいました。
慌てて折り返し、走っていた反対車線側に右折の標識を発見。起点から走ってれば問題ないですが、反対車線からは見にくく、めっちゃ細い道に入るので逆走だとこれは見落とす。
途中ちょっと不案内ですが、大和川に出て川沿いを進んだところが終点(本来は起点)です。
ファミリー公園駅はすぐ側なのでここから輪行で帰ればよいのですが、わりと本数の少ない駅でもあり電車が来るのはちょっと先。せっかく来たのだから何か食べていこうということで、天理名物の天理ラーメンを食しに東へ3kmほど自転車を走らせます。
入り口に人が結構な数いましたが、広い店舗だし一人だし店員さんも「もうすぐですかねえ」と言うからそんなに待たんだろう……と思ったらガッツリ1時間ちょい待たされました。
そして会計をしようとしたところ……財布がない。慌てて足元や待機してた場所を確認するけどやっぱり無い。支払いはスマホの電子マネーで出来るのでいいし、予備の現金はまあ諦めるとしてクレカやら色々再発行するのが面倒過ぎる。引き返すにも既に日は暮れており探すどころか走るもままならない。ということで、この日はメチャメチャ落ち込みながら、近鉄天理駅から帰路に就いたのでした。
後日。
仕方ないので警察へ紛失届を提出したところ、スマホにかかってくる電話。表示は仕事の番号からの転送。「年始早々休み中に仕事の電話取りたくねえ……。」と思いつつ出たところ「財布を拾いまして中に入っていた名刺にお電話したのですが」「取りに伺います!」
かみまみた。いや神は居た。おみくじの大吉に若干のマッチポンプ感を感じつつ、地元の名店で菓子折り買って往復4時間掛けて即奈良へ飛んだのでした。拾ってくれた老紳士いわく、自転車道に財布が落ちており、犬の散歩の最中に拾ったとのことで、お住まいの住所を見ると途中ほぼダートだったあたりの近所。「あそこかあ……」と思いながら、今度は落としても問題無いように財布の中身を見直すのでした(結局今は持ち物最小限にしてマネークリップになってます)。
大和中央自転車道のまとめ
ルートの大半が飛鳥川沿いのルートで、過去の時点で最も整備区間が短かった通り、状況は他の2自転車道に比べるとイマイチ感が漂います。アスファルトの表面が流れてしまいほぼダートになってるような箇所や、荒れた歩道等など。飛鳥川沿いはほぼ走るだけのルートなのでわりと残念。
観光スポット的には終点近くがほぼ全てで、今井町、神武天皇陵、橿原神宮あたりですね。これだけでも撮れ高としては十分なのですが、反面起点からしばらくは見るべきものがあまりありません。
飛鳥川も川幅の広い川ではないので、わりと街中走ってる感じの区間が多いです。起点付近の開けた田園風景、やや住宅地寄りの中盤、江戸風情の今井町付近、緑溢れる天皇陵周辺と、変化はありつつ路面状況がちょっと残念な道、という印象です。