K3、遠野遠和自転車道を往く

大規模自転車道
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遠野遠和自転車道は、岩手県遠野市土淵町土淵から花巻市東和町田瀬までを結ぶ約26kmの大規模自転車道です。河童の里を出発し、衝撃の展開がサイクリストを待ち受けます。2023年4月24日走破。

遠野遠和自転車道の基本情報

正式名称は岩手県道503号遠野東和自転車道線
通称遠野遠和自転車道
平成4年(1992年)から整備が開始され現在の延長は約26km。

起点岩手県遠野市土淵町土淵(伝承園東駐車場)
終点岩手県花巻市東和町田瀬(下宮守田瀬線交差点)
大規模自転車道とは?

起点最寄りはJR釜石線遠野駅から約5km。快速の停まる釜石線の主要駅ですが、釜石線の運行本数自体が1時間に1本以下。終点最寄りはコース途中にあるJR柏木平駅で約9km。こちらは普通しか停まらないため、一部快速が停車する鱒沢駅、または宮守駅の利用を検討した方が良いかも。

岩手県遠野市土淵町土淵の伝承園東駐車場を起点とし、小烏瀬川右岸を下ってゆきます。程なく猿ヶ石川と合流し引き続き右岸を下り、遠野中心部に戻ってきたところで左岸へスイッチ。その後再度右岸に渡った後は国道283号線遠野バイパス沿いなどを進行、JR鱒沢駅、柏木平駅前を通過し、コテージランド柏木を通過した後、終点花巻市東和町田瀬の下宮守田瀬線交差点へ至ります。

遠野遠和自転車道を走る

岩手みちのく旅情編最後の1本。起点の遠野市は「遠野物語」に記される民話が伝わります。というか基本河童推しの町。花巻から鉄路で遠野へ移動し、遠野駅の立派な駅舎に降り立ちます。

めっちゃ立派な駅前

起点の伝承園までは5kmほど。途中サイクリングコースの標識を見かけましたが、詳細は確認できず。ルートとしては自転車道の起点に向かってる模様。

謎のサイクリングロード表記、百姓一揆とは

地方らしく市街地を抜けた途端田園風景が広がりますが、途中謎のオブジェ群など得も言われぬ光景が広がっております。

謎のオブジェ群、なんか著作権的にヤバいのいるな?
反対を向けば河童が釣りしてるカッパ淵

ほどなく起点の遠野伝承園に到着。古民家が保存されていたり伝統工芸が体験できたりと、かつての生活を伝える観光施設です。また「語り部」による昔話が目玉の一つで、帰り際のタクシーで遠野に行ってきたと話したところ「語り部の話は聞けました?」と尋ねられたくらい。とはいえ、今回はスルーなのですが……いつものことですが大変もったいないことをしている気がする。

閑話休題。自転車道の起点は伝承園東側の駐車場側にあります。

遠野遠和自転車道起点

他の岩手自転車道でも見た頭上高く掲げられた案内板、県道503号を示すヘキサがお出迎え。岩手県はこの様式で統一しているようです。また、頭上の看板にも河童がいますが、入り口の車止めには河童の顔が刻まれており自転車道まで河童激推し。

のどかな山野の風景とともにスタート

のどかな山野の景色の中、自転車道を走り始めます。が、写真では伝わらないのが光、風、香り。そして自転車道はほぼ全線西へ向かって走るというのに、この日は西風8mという最悪の向かい風。景色ののどかさとは裏腹に、自転車は全く進まず漕いでる当人はかなり必死。
小烏瀬川沿いから猿ヶ石川沿いに、遠野駅に向かって戻るように進んでいきます。

地面に記載された案内図、状況が良好なのは通行者が少ないせいか
かっぱ橋というそのままの橋、カラーも激かっぱ
猿ヶ石川合流地点、ザ・ふるさとの風景
来内川を渡る老朽化した木橋の車止めも河童
釜石線交点近くの鮮やかな芝桜(かな)

時速10kmちょっとくらいでひーこら走りつつ遠野市街地周辺まで戻り、引き続き猿ヶ石川沿いに西を目指して走ります。遠野近辺がちょっと案内不親切でしたが、標識等は概ねしっかり整備されてますしかなりの区間が専用区間だしで思ったよりしっかり整備されてた印象。

愛宕橋と山肌に刻まれた歓迎メッセージ

途中、初めて休憩所を発見し案内板を確認。おそらく自転車道整備当初のもので表面が剥がれたり焼けて色落ちしたり木の枠組みズレちゃってたりとかなりの年季を感じます。

道の駅 遠野風の丘近くの休憩所
案内板はだいぶボロボロ

このあたりから道は国道283号線釜石街道沿いを進みます。遮るものがないので真正面から風を受けて超心が折れそう。

遠野バイパス沿いの季節が違えば美しそうな道
反対側に乗り換え、ガードに河童の姿

長岡休憩所からは国道を少し離れ猿ヶ石川沿いに専用区間に切り替わります。

綾織の桜並木近くの長岡休憩所、季節ズレてしまってるのが残念
さっきとは違った写真入り観光案内図
河川敷と田畑の間を貫く専用区間

普通ならあぜ道になってそうなところをガッツリ舗装してあり桜並木も植えてあると、なかなか贅沢な道。4kmほどで終了し再度遠野バイパスに合流します。

再度遠野バイパスに合流し道路脇にひっそりヘキサと地面案内

JR鱒沢駅を過ぎたあたりから道の様子が変わり、ここがまた凄い。

鱒沢駅を過ぎたあたりから一段下げのコンクリ舗装道路に
ガッツリ舗装して道幅十分の遊歩道に

普通なら車道の側道になってそうなところをわざわざ一段下げてガッツリコンクリ舗装、この人通りの少なそうなエリアに自転車道として整備したのであれば相当に贅沢な作りではなかろうかと窺われます。その分区間は短めですが。

かしわぎコテージランド入り口近くの休憩所

JR柏木平近く、猿ヶ石川が大きく湾曲した地点にコテージランドかしわぎがあり、自転車道もそちらへ向かいます。ここからある意味遠野遠和自転車道の真骨頂。

手前地面と奥に見える自転車道案内、視線を落とすと……
うっすら見える「自転車道この先行き止まり」

行き止まり……と言われても道は続いているので、気にせず進んでゆきます。

構わず進むといつもの案内表示セット
ヘキサの下に再度「この先行き止まり」の立て看板
案内図もよく見ると直前のものと東西が反転してる
奥に進むと立派な橋がかかっている

めちゃめちゃ立派な橋が架かっております。自転車道専用橋とすれば相当なモノ。
とりあえず行き止まり表示は見なかったことにして進みます。

無情の「自転車道この先行き止まり」立て看板を無視
橋名(梁見橋)の由来はすっかり褪せてしまって読めない
対岸に見えるトンネルの入り口
トンネル名は「須麻古トンネル」
トンネルの先には休憩所らしきもの
広がる柏木平コテージランド
近隣エリアのサイクリングロード案内図、奥が点線になっている
須麻古トンネルの名前由来は読めました
奥に進むと自転車道のいつもの看板、ちなみにキャラは河童から謎のワサビキャラに
アスファルトを割る大地の力、道の荒れ様が大変激しく嫌な予感しかしない
そして訪れる終焉

道がねえ!

あれだけ立派な橋とトンネルを渡った結果、待っていたのは行き止まりでした。ガードの先に、本来であれば対岸に渡る橋が架かっているはずのところ、完全な行き止まり崖一直線。そりゃ通行止めです。

上から見たところ、無理矢理上の道路と道を繋いでお茶を濁している模様

GoogleMAPで見ると対岸に一箇所ガードレールが切れている箇所があり、橋渡してここで合流させるつもりだったのかな……と見て取れなくもなく。

事前確認で国道107号線沿いを進めば終点近くで自転車道が復活することはわかっていたのですが、そこまでが側道通行になりかなり危険。更にタイムリーにGoogleストリートビューが更新されていたため終点の交差点に何も無いこともわかっていましたし、何より8m向かい風の強風に心(と膝)が折れかかっており残り時間も少々微妙だったので、ここで撤収を決定。国道283号線沿いに、7km先の宮守駅へ向かいます。

283号線から見下ろした柏木平コテージランド、本来であれば右奥にも橋がかかっていたハズ
宮守駅近く、「銀河」見送りの舞台にもなった「めがね橋」
無人駅の宮守駅から撤収

宮守駅から急行はまゆりに乗車し、花巻空港に向けて帰還します。尚、宮守駅は券売機すらないので切符は乗車して車掌さんから購入。

これにて岩手みちのく旅情編終了!

遠野遠和自転車道のまとめ

道は専用道の割合が多く、標識なども非常によく整備されていたであろう道であることが窺えます。桜並木と共に河川敷を貫く専用道、車道からわざわざ一段下げで造成されたコンクリ舗装区間、川を越えてかかる専用橋、そして続くトンネル。力の入れようが見て取れるだけに最後の行き止まりだけが画竜点睛を欠きます。

というのもこの遠野遠和自転車道、著名な廃道探索サイト山さ行がねがに掲載されたことがあるという曰く付きの自転車道。掲載は2018年ですが取材は2012年なので、10年以上この状況で放置されているということに。当然訪れる前にわかってはいました。

では開通させる意図がないのかというとそんなことはなかったらしく、令和元年度岩手県知事への要望概要では「一般県道遠野東和自転車道線の遠野市宮守町柏木平から花巻市東和町田瀬までの未整備区間の整備促進を図ること。」として明記されています。しかし、次年度以降要望から自転車道の記載が削除されており、諦めたのかな?感が……。

最後の行き止まり以降を除けばなかなか良い道だと思うのですが、いつか完全開通することはあるのでしょうか。

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