飛鳥葛城自転車道は、奈良県高市郡明日香村祝戸から大和郡山市小泉町までを結ぶ約30kmの大規模自転車道です。起点はみんな大好き修学旅行の名所石舞台古墳、奈良の南側を通るルートになっています。2022年12月24日走破。
飛鳥葛城自転車道の基本情報
正式名称は奈良県道274号明日香大和郡山自転車道線。
通称飛鳥葛城自転車道。
計画延長は30km。平成18年(2006年)完成。その後も全線が2011年制定の奈良まほろばサイク∞リング(略称:ならクル)のC7の一部として、また令和3年(2021年)開通の京奈和自転車道の一部としても組み入れられ、継続的に整備が続けられています。
起点 | 奈良県高市郡明日香村祝戸(国営飛鳥歴史公園 石舞台地区 南西出入口付近) |
終点 | 奈良県大和郡山市小泉町(富雄橋 西詰) |
起点最寄り駅は近鉄吉野線明日香駅から大凡3km少々。同じく近鉄線の橿原線、南大阪線、吉野線のハブ駅である橿原神宮前駅からも4kmと殆ど変わらないので利便性は圧倒的にこちらが上。終点はJR大和路線大和小泉駅から1km程度。
奈良県高市郡明日香村祝戸にある石舞台古墳近くの芝生公園南西入り口を起点として、飛鳥川沿いに橘寺、飛鳥寺、といった寺社郡横を抜け、大和高田バイパス沿いに西進。葛城川沿いに北上、高田川、曽我川、大和川、富雄川沿いに乗り換えて北上し、終点である奈良県大和郡山市小泉町の富雄橋西詰へ至ります。
途中橿原市四条町の綏靖天皇桃花鳥田丘上陵近辺で大和中央自転車道と300mほど区間重複・接続、終点で奈良自転車道と接続しています。また、葛城川沿いは京都から和歌山を結ぶ全長180kmの京奈和自転車道(奈良県道280号大和青垣吉野川自転車道線)の一部として整備されています。
飛鳥葛城自転車道を走る
世間はクリスマスイブ。そんなの関係ねえとばかりに奈良自転車道からの続きで飛鳥葛城自転車道を走ります。連続走行ルートの関係もあって終点からのスタートになります。
奈良自転車道で富雄川から右折し離れた地点を直進すると飛鳥葛城自転車道の終点があります。まあ、自転車道ではあまり起点終点関係ないですけど……と思ったらこの自転車道は標識にガッツリ「終点」と書かれているのでした。奈良自転車道に起点終点標識はなかったのにこちらはしっかり。
富雄川沿いを進んでいきます。白線跡もあるし歩道側が自転車道なのは間違いないはずなのですが、ならクル表示は車道側にあったりしてイマイチよくわからない。
標識仕様等は奈良自転車道と同一。世代差が伺えるところも一緒で、力入れて整備されている様子が見て取れます。路面状況もなかなか良好で普通に走りやすい。富雄川流域はそんな感じで走り抜け、大和川合流地点で御幸橋を渡り渡河。曽我川沿いに乗り換えます。
基本、案内図や標識はかなりの頻度で見かけます。年代もおそらく当初のものから、どこかで更新されたであろうもの、ならクルなどまちまち。県内の三自転車道を記載した時代を感じる巨大な案内板を見かけました。設置意図がイマイチ不明なのですが、おそらく、飛鳥葛城自転車道がもっと短かった頃はこのあたりが中間だったからかな……という気がします。
奈良自転車道にはないこの自転車道の特徴が、終点にもあった小豆色の丸羽タイプの標識。小さな休憩所の側などに設置されているのですが、「終点」「起点」表示があって「あれ、何か終わった?!」と一瞬混乱しました。多分順路はこっちだよの意味でしかないんでしょうけど、ちょっとややこしい。
奈良県第二浄化センタースポーツ広場の中を通って葛城側へ乗り換えます。この辺りは公園としてよく整備されており走ってて気分がよろしい。トイレ等も完備されてますし。
葛城川沿い方面へ抜けると、道にブルーラインが登場します。つまり京奈和自転車道。奈良の自転車道はグリーン舗装がメインだったりもしたようですが、京奈和は基本青ラインの青矢羽です。しまなみ海道の流行に乗っかってなのか、近年の自転車表示は青が多いように思います。
途中、広陵町公園の近くに再度時代を感じる意匠の案内看板。明日香大和高田広陵自転車道線は、2001年(平成13年)に廃止された現道の前身で、距離的に当時は先程通過したスポーツセンターあたりが終点だったようです。少なくとも20年以上前の看板ということになりますが、見る限り30年以上は経ってる気がする。
葛城川沿いのエリアは京奈和事業で整備されたこともありますが、直線区間が非常に長く走ってて爽快感があります。周囲も田園風景が広がり視界を遮るものにも少なく、風を切って走るにはもってこい。道幅はちょっと狭めなところもありますが。
大和高田バイパスとぶつかる地点に勝目休憩所があり、京奈和自転車道とはここでお別れ。左折し大和高田バイパスに沿って東進します。
京奈和を離れると、道は一般道が中心に。また、写真を撮ってないのですが高架下で全面工事中の箇所があり、案内ポールに従って仮設道路を通る場面がありました。高架下の一般道なのであまり見どころもなく、写真すら撮ってなかったという……。
4kmほど進み県道161号線に合流したところで右折。3車線幅広歩道付きの立派な道路なので間違えはしませんが、この辺り逆走だと標識が若干わかりにくく周囲の表示見てないと間違うかもしれません。県道161号線の走行区間大凡300mは奈良中央自転車道と重複しています。
飛鳥方面に行くという意識があれば問題はないのですが、ここでの左折の目印になる標識は「ならクルC7」表記なので油断してると怪しい。手前の案内図見てればすぐ曲がること自体はわかるのですが。
飛鳥川方面に向かうと、景色が自然一色ののどかな風景に移り変わり始めます。いかにも奈良飛鳥の風情が漂い空気が美味い。他方、道や標識はだいぶ寂れ気味。
県道155号と交差したところで、めっちゃ普通の裏道っぽくなりますが直進。ここから標識がなくなるので知らないと迷いますが、多分逆走想定してないせいでしょう。聖徳太子(って言わないんですよね今は)生誕の地、橘寺横を通り抜け「飛鳥周遊歩道」の標識が見えたらそちらへ進みます。
このあたり完全に自転車道ではなく遊歩道ですが、穏やかな風景と自然溢れる癒やし空間になっております。もっとも、迫る日暮れと寒さでそれどころではなかったんですが。平地になかった雪しっかり残ってるし。
玉藻橋を渡って正面に石舞台古墳近くの芝生広場が見え、入口入った駐輪エリア側に自転車道の各種案内板が設置されています。起点記載は特にありませんが、まあ地図の位置的にも見做して問題ないでしょう。これにて飛鳥葛城自転車道走破です。
本来はもう1本大和中央自転車道も走る予定だったのですが、向かい風などもあって想定より時間がかかってしまい時刻は既に4時近く。現着してスタートしても走行中に日が暮れるのは確実、川沿いの自転車道なんて照明がないのが基本ですから、断念して再訪することに。冬は一日が短い。
というわけで、石舞台古墳をちょっと観光に。記憶が正しければ小学校の修学旅行で訪れて以来です。
人間は訪れてせいぜい数十年ぶりですが、この遺跡自体は1000年以上この地にあるんだよなあ……とかどうでもいい事を考えつつ、帰路につきます。芝生広場では寒い中シャボン玉のパフォーマーが家族連れに芸を披露してました。
途中「亀石(これも小学生の時に来た記憶、列作って徒歩で歩いてた)」前を通り、橿原神宮前駅から撤収しました。
飛鳥葛城自転車道のまとめ
奈良県の他の大規模自転車道が20kmちょっとのところ、30kmある最長の自転車道だけあって走りごたえは十分。見どころのでは平城宮擁する奈良自転車道の方が上な気がしますが、走りやすさや自然寄りの風情はこちらが上でしょうか。
県全体で自転車道整備に力を入れる奈良だけあって、標識及び路面の整備状況は上々。一部事前知識がないと迷いそうなところはありますが、外れたらわかりそうなものではあります。
バイパス沿いの4kmほどを除き、全体の大半を河川沿いに進むため、非常に走りやすい自転車道となっております。飛鳥川沿いの自然、葛城川沿いの京奈和共用快走区間等、奈良の風情を感じながら走るには良い道なのではないでしょうか。