タイヤは自転車が唯一地面と接するポイントであり、特にK3及びK9X等の小径車では走行性能・快適性に大きな影響を及ぼします。元々消耗品でお値段もそこそこなので、コスパ的にも超重要ポイント。入手性の難もあり、あちこちで試行錯誤が繰り返されています。
タイヤ(とチューブ)の基本
基本14×1.5というような表記で表され、左側の14が直径、右側の1.5が太さになります。基本的にはチューブもサイズを合わせますが、多少ずれても問題なし。尚、単位はインチです。タイヤのパターンにこだわったりチューブにも種類があったりしますが、ゆるカスタムの範疇を越えるので割愛。
チューブについているバルブ(空気入れの口)は3種類あり、K3、K9Xともに標準は仏式(Presta)のバルブになっており、米式(Schrader)を使うには若干改造が必要なため選択肢に入りにくく、英式(ママチャリで一般的な口)は通常使いません。
また、小径車は回転数が非常に多いため摩耗が早く、1500~2000kmも走れば交換が必要。元々が消耗品であり、小径車は素材として使用する原材料が少ないため比較的お安くお値段は1本あたり1,500円~4,000円くらいです。
カスタムタイヤの選択肢
小径車では選択肢が非常に限られているものの、K3が流行ったこともあってか数年前よりは国内通販で買えるタイヤも随分種類が増えております。ただ依然として国内流通がなかったり安定しないケースが多いです。
一般的なメーカー・ブランドの選択肢
全てのメーカーに言えることですが、製品としては存在するのに国内流通が無いため公式サイトに掲載がなく、特定ショップや並行輸入でしか入手できないというケースが結構あります。ディスコンになる時はなりますが、安定して入手できるかというのも重要。海外通販という手もありますが、リスクや煩雑さから万人にお勧めできる手段ではないです。
SCHWALBE(シュワルベ)
SCHWALBEはドイツのラルフポール社が展開するタイヤのブランドで、マラソンで一躍名を上げたように耐久性に定評があります。国内では株式会社ピーアールインターナショナル等が取り扱っています。PRインターナショナルはORTLIEB他の自転車アクセサリ等と一緒に全国各地の自転車屋へ卸すため現在の入手性は良好。
CST(チェンシン)
CSTは台湾のタイヤメーカーで、ホンダやヤマハの純正タイヤとして採用されるなど自動車分野の実績が目立ち、現在K3及びK9Xのデフォルトタイヤがこちらになっています。標準の補修部材ですし、代表的な自転車グリップERGON等の代理店を手掛ける株式会社マルイがGIZA PRODUCTSブランドで取り扱うため、入手性も高いはず。
KENDA(ケンダ)
KENDAは台湾の老舗タイヤメーカーで、初期のK3がデフォルトでこれを履いてました。販売店としては国内自転車チェーン最大手の株式会社あさひが取り扱うのですが、あまり小径車パーツやってるイメージはないですし、通販が頼みかも。
VEE
VEEはタイのメーカーで、元はOEM専業だったようですが自社ブランドとして自転車向けのファットタイヤなどを出しているそう。カルマックスタジマさんなど一部取扱店や通販で入手可能です。
K3の場合
デフォルトでは初期型はKENDA(ケンダ) Koast 14×1.35、最近の型はCST(チェンシン) C1653 14×1.35というタイヤを履いています。選択肢としては下記のようなものがありますが、SCHWALBE BIG APPLEが定番中の定番です。
- C1653 14×1.35(210g/標準)
- SCHWALBE BIG APPLE(ビッグアップル) 14×2.00(340g)
- SCHWALBE LITTLE JOE(リトル・ジョー)14×1.40(210g)
- VEE SPEEDSTER14x2.00(400g)
- GIZA PRODUCTS CST C-1959 14×1.5(341g)
- GIZA PRODUCTS CST C-1959 14×1.75(345g)
- KENDA KOAST 14×1.35(200g/国内取扱記載無し/初期標準)
- KENDA KWICK ROLLER K1029 14×1.75(290g/国内取扱記載無し)
入手性を考慮して国内取扱がありそうなもののみ。海外通販を視野に入れるならもう少し選択肢があります(特にSCHWALBE)。14×2.00のタイヤは適正サイズの仏式バルブチューブで入手性の高いものが無いためパナレーサーサイクルチューブの14×1.75を使うのが一般的。
BIGAPPLEへの換装は幅が2.0と大幅に太くなりエアボリュームが増し空気圧が下がるため、走行時に発声する掌等への厳しい衝撃が緩和され、直進性も向上しクイックすぎるハンドルが若干マイルドになります。
欠点は走り出しが重くなる、重量増加(前後合計150gほど)、ホイールに対しかなり太いタイヤになるためリムに負荷がかかりやすく足回りトラブルが増える可能性が増すこと。
回転数の関係でブレーキが激しくリムを削るので、幅の増加と合わせ圧に負けやすくなります。ライダーのガタイがいいと尚更。K3のリアホイールはスプロケット一体の専用品なので、出費がキツイ。
また、換装時にディレーラー(ギア変速機)が干渉する場合があり、基本調整ボルトで対応可能ですが個体差でチェーンラインに影響が出たりシビアな調整になることがあります。
総じて体感としては元々足回りが軽量な14インチだけに転がりの重さはさほど気にならないため、安定感や巡航能力向上のメリットの方が圧倒的に上回る印象。
VEE SPPDSTERは実際使ってみてBIGAPPLEと走行感の差は無は感じませんでしたが、1mm破片貫通してのパンク食らったのであまり良い記憶がありません。「一緒はつまらないよね」のお洒落寄りかなという判断。
K9Xの場合
標準ではCST C1653 16×1.5というタイヤを履いています。選択肢は下記あたり。
- CST C1653 16×1.5(240g前後?/標準)
- SCHWALBE BILLY BONKERS(ビリーボンカーズ) 16×2.00(300g/国内取扱記載なし)
- SCHWALBE BIGAPPLE(ビッグアップル) 16×2.00(370g)
- SCHWALBE MARATHON(マラソン) 16×1.75(490g)
- VEE SPEEDSTER 16×2.00(490g)
- GIZA PRODUCTS CST C-1959 16×1.5(424g)
- GIZA PRODUCTS CST C-1446 16×1.75(435g)
16インチには2種類のホイール径があり、K9Xは「ETRTO305」という規格で、こちらの方が圧倒的に種類が少ない。もう一方の規格は「ETRTO 349」で、349は径をmmで表すためこちらの方が44mm径が大きいことになります。そして「ETRTO 349」はキングオブお洒落折りたたみ自転車、Bromptonが採用しています。尚、ETRTOはmm表記。自転車のホイールやタイヤは規格と表記が乱立しておりクッソ面倒くさいです。
ということで選択肢ですが、DAHO JAPAN公式が2024年7月にBILLY BONKERSの16インチを取り扱うことを発表しました。MARATHONは耐久性と走行性能は高いもののBIGAPPLE越えの重量級ですし、BIGAPPLEと幅が同じでより軽いとなればほぼこれ一択みたいな感じ。
BILLY BONKERSが販売開始され導入したのでこちらは別途記事にしました。
まとめ
現在、自身の選択として。
K3はSCHWALBE BIGAPPLE14x2.00を履いていますが、入手が安定するなら1.75でも良さげな気がしています。K1のリムが幅広のものに交換されたように、距離乗るならやはりリムへの攻撃性は気になります。ただ、KENDAやCSTのタイヤはあまりよい評判を聞きません。
K9XはCST C-1653 16×1.5となっていますが、9月にSCHWALBE BILLY BONKERSが出ればそちらに変えるつもり。問題はどのくらい入ってくるかですが。