磯部大王自転車道は、三重県志摩市磯部町穴川から志摩市大王町波切までを結ぶ約17.2kmの大規模自転車道です。最近何かと話題の志摩スペイン村をチラ見しながら、森と地元の町を抜け大王崎灯台を目指します。2023年9月20日走破。
磯部大王自転車道の基本情報
正式名称は三重県道129号磯部大王自転車道線。
通称磯部大王自転車道。
昭和48年(1973年)県道指定、平成元年(1989年)全線供用開始。
計画延長は18.4kmですが令和5年(2023年)の三重県統計によると実延長17.2km、専用区間13km、重用区間3.8km、未整備0.3kmほど。
起点 | 三重県志摩市磯部町穴川(志摩磯部駅南東300m地点) |
終点 | 三重県志摩市大王町波切(大王崎入口交差点) |
起点最寄りは近鉄志摩磯部駅、本来の起点は南西駅前ですが未整備のため300mほど先。終点は近鉄志摩神明駅まで7.5kmほど、しかし無人駅なので特急乗ること考えたら9km先の賢島駅が実質最寄りになります。
三重県志摩市磯部町穴川の志摩磯部駅南東にある小道入口を起点とし近鉄を横目に専用道を進行、ほどなく県道61号沿いに並走する自転車道を伊雑ノ浦越しに志摩スペイン村をチラ見しつつ南東へ。県道750号沿いに乗り換えた後、森の中の長い専用道区間になります。再度県道に合流した後は太平洋沿岸へ出て、すぐに内陸へ切り返し、国道260号線へ合流後、終点である志摩市大王町波切の大王崎入口交差点へ至ります。
国道260号線沿いの区間が太平洋湾岸自転車道に組み込まれています。ただし、太平洋湾岸自転車道は御座白浜まで国道260号線沿いに進んだ後、本来は舟で対岸へ渡るルートなのですが、肝心の浜島航路が2021年に廃止されてしまっており、ただの行き止まりになっています。
磯部大王自転車道に至るまで
徳島から始まった大規模自転車道周遊の旅、最後の6本目です。明星駅から伊勢市駅で乗り換えて志摩磯部駅まで。この区間でもサイクルトレインが運行されていますが、利用はできず。伊勢志摩に足を運ぶのは学生時代の修学旅行以来です。
志摩磯部駅は元は志摩スペイン村の玄関口だったということでスペインはアンダルシア地方の建物を意識した造りで、利用しているレンガも現地から持ち込んだというこだわりようだそうな。しかし、定期バスは廃止されて久しく、志摩スペイン村の玄関口は鵜方駅へ移っています。諸行無常。
撮影は東側の出口で、自転車道の本来の起点は西側なのです。下調べが甘くて未成区間を見落としていたせいですが、いうてどうせ未整備区間なので……。
磯部大王自転車道を走る
起点は駅から数百mほど南東に進んだところで、車道から脇道に入るように現れます。
Wikipediaによると昔は案内板があったようですが今は起点表示もなく、マジで「私道か?」みたいな感じで現れますが間違いありません。。裏道じみた専用区間を進んでいきます。
尚、写真にある通りこの自転車道は基本大王崎灯台に向かうようにしかルートが描かれていません。すれ違えないほど狭くはないですが、行った後どうする想定でルート組んでるのかはきになります。折り返し前提ではあるんでしょうけども。
すぐに視界が開け先ほどまで乗車していた近鉄路線と並走する形に。ガードに小さく自転車の意匠が施されており、案内図が一つ。
駅からの未成区間が表示された案内図が掲げられていました。多分未成区間の300mはここで、起点表示がなかった理由もこの区間の存在故と思われます。ルート的には白線だけ引けば普通に駅の駐輪場から整備完了しそうなんですが、何かやらない理由があるのだろうか。
ここから1km少々専用道区間が続きます。
この案内板は金属のフレームに板を取り付けて交換できるタイプにしてあるんですかね。最初に見かけた案内図とフレームの造りは一緒なのですが、案内板自体には時代差があるように見えます。このあたりで専用同区間は途切れ、県道61号線と並走する区間へ。
コース案内は大変しっかりしています。時代が古く一部消えかかってる部分もありますが、支障が出るほどではありません。後数年すると怪しいかもしれませんが。
左手に伊雑ノ浦を臨みながら進みます。パッと見湖っぽく見えますが、的矢湾の一部であり、入江で基本海。しかし大雨になると淡水化し、大干ばつが起これば水深が最大でも3mと浅いため大半が干潟になるそうな。対岸に、えすぱーにゃーのCMが耳に残り近頃ぶいちゅーばーとのコラボやらで話題の志摩スペイン村が見えます。
ちなみにこの日は南東の向かい風5mくらいで全く自転車が進みません。
ここに来て県道129号線のヘキサを確認。水源と車道に挟まれている関係で周囲に強力な自然の発生源もないため、路面状態もなかなか悪くありません。
伊雑ノ浦から離れて少し、坂崎駐輪場の表示を発見。コースに2箇所設置された駐輪場のうちの一つです。大きな屋根の設置された駐輪スペースと、奥に階段が一つ。折角なので登ってみます。
下草が伸び放題になってました。強度に不安があるのか、東屋には立入禁止の看板。よく見ると柱にヒビ入ってますかね。案内図は穴川近辺で見かけた比較的新しそうなものと同様。荒れてるなあ以上の感想はなく先を急ぎます。
突然コンクリート陸橋で回避して何かなと思いましたが、後で地図見たら御神木でもあるのか小さな森を避けている模様。たまにありますけどね、曰く付きの大岩避けたり大木避けたりして道を回避してる箇所。地元でも岩を避けて車線分離してる道があります。
ややぐねぐね進み、一部専用道で森の中突っ切ったりしつつ、ファミマの見える交差点へ。
ここがちょっと曲者で、路面の案内に従うとそのまま左奥のパールロードへ行ってしまいそうなんですが、右奥が正解。明確な案内がなくここはノーヒントだと厳しいところ。本当に合ってるのか?と思いつつ進むと、自転車道を示す記号が現れます。
専用同区間が現れてはすぐ消え、というケースがそこそこあります。ここも専用区間作ってくれるのはいいのですが、長さはわずか100mちょい。ここから道はしばらく森の中の専用道を突っ走ります。
「自転車専用」標識は区間も非常に短くなかなかレアです。大体は自転車専用を謳ってても、実態は歩行者自転車道というケースが殆どなので。
案内図はやっぱり「DTPで作ってるかどうか」が20世紀と21世紀の境目な気がします。道は続き、ますます深い森の中へ。東北とかだったら熊警戒して踏み込み躊躇するレベルですが、路面状況もよく、走行感は至って快適。2kmほどの道ですが、この区間はなんとGoogleストリートビューで通れます。例の360度カメラ背負って自転車で走った人が居たんでしょうね。
森林区間を抜けると一瞬的矢湾そばへ顔を出し、すぐに再度森へ突っ込みます。
森の道を抜けた跡は県道514号線と合流、車道沿いに設置された自転車道を進みます。
海岸沿いに出たところで、この自転車道2つ目の休憩所である阿児駐輪場に。
案内図の時代目利きする方法とかないですかね。さておき、案内図にある通り阿児駐輪場を超えたところで道は一気に海岸を離れ内陸方面へ。
このあたりも道路の様相が変わってちょっと不安になるところですが、進むと記号が現れます。
近隣に学校があるので、結構な数の少年少女が歩いており、間違ってもスピード出す道ではありません。道を開けてくれる少年少女に礼を言いつつ進行。
国道260号線に当たったら左折。ちょっと迷いましたが、よく見ると左手奥に簡単な案内板を発見。
ここからは道幅も狭く、淡々とゴールを目指します。道の感じからしてこの辺は共用区間ぽい。
大王崎入口三叉路の手前にちょっと開けた箇所があり、案内図が設置されていました。ここが終点……かと思ったら、真の終点は大王崎入口交差点の国道260号線側にあります。交差点までは進んだのですが、表示板が真横からの視点になってしまい気付けなかったという……。
大王崎灯台は既に営業も終了している時間であった為足を伸ばさず折り返し。進行方向にかなりの向かい風な上、天気がいまいちで食指が動かなかったというのもあります。
磯部大王自転車道はこれにて終了、9km先の賢島駅へ追い風を受けて折り返します。
賢島からは特急(ビスタカー)で大阪まで2時間半直行。料金何分の一かで東京まで行くのと時間変わらないと考えると、そこまで遠くは無い。
紀伊半島一周自転車道周遊の旅、全行程これにて終了です。
磯部大王自転車道のまとめ
ルートは大半が専用道で構成されており、路面状況も古さを感じるところはありますが走り難いまでは至らずなかなか良好。国道260号線沿いは(太平洋湾岸自転車道区間なのに)ややグレードが落ちる感じではあります。標識もしっかり整備されており、一部(ファミマ近辺交差点)を除き迷うところも殆どありません。というか結構変な通し方をしてるので迷いようがないというか。
スタート地点の路地裏から始まり線路沿いの田園風景、伊雑ノ浦を望む県道沿い、森の中を進む自転車専用道区間となかなかバラエティに富んでおり、それぞれに良い感じで飽きません。他方、途中の観光名所的なものは目ぼしいものがなく、大王崎目指して伊勢志摩の空気を楽しむ自転車道という風情になっております。
三重県のもう一方の自転車道はなんだったんだという充実の整備状況で、欠点は放置されていることくらい。利用者が多いとも思えないですし、志摩スペイン村と一緒になんか打ち出しとかしてみませんかね。そのくらいには勿体ない。