K3、神出山田自転車道を往く

つくはら大橋休憩所の風景 大規模自転車道

神出山田自転車道は、神戸市西区神出町から北区山田町下谷上までを結ぶ、およそ19.3kmの大規模自転車道です。神戸の山側を走る自転車道ですが、最大の特徴はなんといっても階段。階段?
2019年2月23日走破。2023年11月12日再走。

神出山田自転車道の基本情報

正式名称は兵庫県道563号神出山田自転車道線
通称、神出山田自転車道。
当初全体計画は23.7kmですが、平成15年(2003年)時点で19.3kmが供用済みです。元々は箕谷あたりまで伸ばすつもりだった模様ですが、永らく整備されていないので諦めたっぽい。阪神大震災以降永らく神戸市の財政難もあり放置されていたようですが、たまたま市長が寂れた自転車道を見かけ「これはいかん」と再整備に至ったそうな。令和元年(2019年)秋頃にリニューアル宣言、再起動に力を入れています。

一般県道ですが上記エピソードの通り整備主体は神戸市で、兵庫県のサイトには情報が無く神戸市側にのみ記載があります。

起点神戸市西区神出町東
終点神戸市北区山田町下谷上
大規模自転車道とは?

起点最寄り駅は神戸市営地下鉄西神・山手線の西神中央駅ということになるのでしょうが、約7km~8kmあり道がちょっと面倒です。老ノ口に停まるバスは折り畳み自転車持ち込み禁止。終点最寄り駅は神戸電鉄有馬線箕谷駅で大凡4km。いっそのこと明石から登って三宮まで降りて合計50kmでもいいかもしれません。終盤峠越えですが。

神戸の山側を走る自転車道で、神戸市西区神出町東の老ノ口休憩所を起点に、粟生線、明石川沿いをパスしつくはら湖に至り、つくはら大橋、新名所のBE KOBEモニュメントを経て志染川沿いを走り、北区山田町下谷上で県道85号線に合流して終了します。

リニューアルで休憩所等が再整備され、神戸で3つめのBE KOBEモニュメントが設置されるなど一時期の寂れ具合からはかなりの改善が見られます。が、この自転車道最大の特徴はやはり階段。

神出山田自転車道を走る

色々調べる中でリニューアルの話は聞こえており、その前に行っておかねば、ということでやってきました神出山田自転車道。というわけで走ったのは廃墟と呼ばれていたリニューアル前です。一部標識等既にメンテは入っていたようですが。

輪行で西新中央線の西新中央駅からスタート。距離的には神鉄粟生線の方が近いのですが、気分的に往復感出るのが嫌だったのでこちらのルートです。まずは老ノ口休憩所目指して7kmほど走りますが、道はなかなか曲者。

西新中央駅からスタート
途中こんなあぜ道走りつつ

だいぶ迷った気配を出しつつ、西側起点である老ノ口休憩所へ到着です。アスファルトやレンガ敷にはだいぶ年代を感じるものの、表示板は比較的最近交換されたのかわりと新しめ。と言っても、2011年時点にはこの表示だったみたいですが。

老ノ口休憩所入り口
休憩所の案内板と庇?
案内板は比較的新しくちゃんと読める

神出山田自転車道を走り始めます。が、しばらくはわりと普通の道というか、しょっちゅう一般道と交差したり角ごとに気配が変わるせいでどうも自転車道っぽくない。路地裏走ってる感覚というか……なんと言えばいいのか。そもそも路面が荒れ気味なせいもあるかもしれませんが。

普通の道と交差、油断すると間違える
裏道のような路線
ガードレールで仕切られた往来

走ってる途中竹林の横を抜けたのですが、地下茎が完全にアスファルトを持ち上げてクラックになっていました。自転車道に限らず、横に植生があると草や木の根で道が破壊されがち。特に竹はヤバい。

アスファルトを持ち上げる竹の地下茎

しばらくはコロコロ様子の変わる道を進んでいきます。景色自体は飽きないですが、路面は完全に放置されてる感じで年季が入ってます。

空気は美味しい

ちなみに宮が谷池休憩所が近づいたあたりのこの辺、ぐぐるまっぷ先生は全く違う道を神出山田自転車道として表示しています。行く前の下調べでめっちゃ騙された。自動生成はいいけど道表示くらいちゃんとして欲しい……閑話休題。進んでいくと「それ」は現れるのです。

年季の入った表示板、自転車道なのに自転車を降りろと?
これが神出山田自転車道名物、階段

どーんと階段が現れます。自転車道に階段。しかもなかなかの段数。これから先も複数箇所階段が現れます。ミニベロとかロードは軽いからいいですが、ママチャリだとキッツイのでは。普通に迂回しての道もあるのですが、何故まっすぐ突っ込んだのだろう……。

まあ進まないわけにはいかないので、粛々と登っていきます。

登った後は普通の自転車道
宮が谷池休憩所、休憩所の作りはどこも良い
五百蔵休憩所、ただし休憩所にお手洗いはなし

休憩所はどこも広さのある贅沢な作り。だいぶ傷んではいますが、開設当初の力の入れ具合が伺えます。ただしトイレがあるのは中間あたりの栄休憩所のみ。明石川沿いあたりから交差点が減り、自転車道っぽい道になってきます。

明石川流域エリア、開けた景色が良い

そしてつくはら湖に向けてゴルフコースの間を抜けていくわけですが……。

先になんか見えますね
神出山田自転車道名物再び、自転車道なのに階段

名物階段のご登場。そして長い。結構斜度もあるしやっぱりママチャリだと厳しそう。気合入れれば真ん中走れそうですがコケたらギャグにもならないので素直に押して上がります。対向車はスロープ乗って下ってきましたけど。

何をしろというのか
ほぼ歩道橋

そして上りがあれば下ります。階段があるくらいだから当たり前なのですが、このあたりは坂も含めてそこそこ高低差があります。階段ゾーンを抜けてしばらく進めばつくはら湖に到達。神出山田自転車道のシンボルゾーンが来訪者を迎えます。

つくはら大橋と手前のモニュメント
つくはら大橋休憩所、完全に廃墟の様相

季節と時間帯もよろしくないですが、剥がれた表示板、敷石を突き抜ける草、寂しく佇むモニュメントと、醸し出されるポストアポカリプス感。市長が「廃墟のよう」と言った道の象徴みたいになってます。が、リニューアルで一新されてるはずなのでまた見に行こう。

尚このあたり、道はきっちり赤系の色で舗装されており、道幅もあってすこぶる走りやすい。水面の景観もあって実に自転車道しています。散歩してる方々数組ともすれ違いました。

赤く舗装された走りやすい自転車道

終わるといよいよ終盤。つくはらサイクリングターミナルに到着し、この日は土曜でしたが人っ子ひとりみあたらず。一応東側のポータルのはずなんですが。

つくはらサイクリングターミナル、この日は周辺含め無人
千年家もお休み、超手書き表示

道は更にもうちょっと東まで続きます。一旦県道85号線に合流し、ほどなく志染川沿いに道が切り替わりラストスパート。再度県道85号線と合流したところで自転車道は終了します。

「自転車道まで150m」みたいな表示ですがここもまだ自転車道
東端の県道合流地点、表示はリニューアルされているのか真新しい

県道に自転車道表示はありませんが普通に走れる感じの道です。一旦ここで、事前に確認してたお食事処でご飯。お話聞くとこの辺りも色々あったらしい。

ゴール近くの小さな食堂、安!

えっちらおっちらと東へ進み、すずらん台経由で帰ることも考えてましたが、日が落ちそうだったので諦め。箕谷駅から輪行で帰還です。明石、自転車道、元町と戻っても60kmくらいなので、走ってみるのもありかもしれない。

神戸電鉄箕谷駅

神鉄有馬線で新開地まで出て帰還です。ちなみに逆方向に行くと有馬温泉(走っても約10km、ただし勾配有り)なので、温泉で汗流してから帰るのもありかもしれない。

神出山田自転車道を再走

最初に訪れてから病禍が世界を襲い4年半。外出が憚られる時期が続き、訪問当時はリニューアルの最中でしたが「BE KOBE」オブジェも設置されリニューアル完了ということで、久々に再走してきました。

コース近くの神戸電鉄緑が丘駅から出発

リニューアル完了後、神出山田自転車道について神戸市はあれやこれやと押し出しをしており、シェアサイクルの復活、キャンペーンの展開等以前の放置ぶりが嘘のよう。訪れた当時も「クロスバイクで走ろう!!」というキャンペーンが展開されていました。

電車内の中吊り広告でもアピール

自転車道を通り、老ノ口休憩所へ。

神出起点に到着

休憩所自体は特に変わったところが見受けられませんが、神出山田自転車道の案内板が刷新されてました。WEBサイトにも掲示されているタイプの新しいやつです。

新案内図、BEKOBEモニュメントのところだけ後から貼り付け

竹藪横は地下茎にやられてベッコベコになってましたが、補修された模様。竹は本当に半端ではないので数年でまた盛り上がってくると思いますが。

路面はアスファルト貼り直した模様

案内表示もそこここに手が入っています。古い表示を変更したり、新たな表示板が追加されていたり。元々複数世代の案内板が混在していますが、新しい世代の案内板が追加されました。四角いタイプが最新表示。

一番上が最新の案内表示、古い表示にも修正が
老朽化して落ちそうだった吊り下げ型の案内板が撤去、立て札タイプの案内に
地面に白線で案内が追加

基本、路面はメンテナンスのみで大幅に変わってるところは無し。細々と変わってるところはあるのですが、この辺は自転車道のリニューアルに関係なく、定期的な補修の範疇でしょう。何せ神戸市ですから、公共設備のメンテナンスくらいはやります。

よくみると以前とベンチの形が変わってたり
以前は休憩所表示だったものが自転車道の案内板に
以前はどちらに行くべきかわからなかったポイントにも案内板を追加設置

案内板はかなり数が増えました。以前来た時は分岐などで地図が手元にないと迷うところが結構あったのですが、今は現地案内だけで完走可能です。一部、見落としそうなところは無いわけではないのですが、誰かがクレーム入れれば増えると思います。

グリーンの表示板だったものが最新のものに張替え

当然ながら階段は何も変わってません。つくはら湖まで到達すれば、ここが一番のリニューアル目玉ポイント。

現在のつくはら湖休憩所の様子
真正面から、東屋にサイクルラックも

なんということでしょう(例の音楽)。ボロボロの案内板、石畳を割って伸びまくる雑草という状況だった休憩所がまっさら綺麗になっています。ベンチなどもモダンになっていて、切れ目にロードバイクの車輪挟んで停めたり写真撮影したりもできる様子。だいぶ手を入れており銅像の位置関係も変わっています。

BE KOBEオブジェクトはつくはら大橋方面の奥の方に設置されてます。

リニューアルの象徴、BE KOBEオブジェクト

木製のBE KOBEオブジェクトに、ロードバイク立てるための溝を配した実に現代的な空間に。お約束のスマホ撮影スタンドも設置されてました。ここ10年でこの手の文字オブジェクトめっちゃ増えましたね。

さらに先の旧つくはらサイクリングターミナルも、車が停まっていたりのぼりが出てたり、以前とは違って人の気配がします。訪問まではしませんでしたが。

サイクリングターミナルには車が多数停車
起点案内板も刷新

起点の案内板も刷新されてました。いや、神出側はグリーンのやつそのままなのに変える必要あったんかいって気はするんですが。

久々に来た神出山田自転車道は、大幅に手を入れられ、その雰囲気は大きく変わっておりました。なにせ、家族連れやら何かの小学生サークルやら、10組くらいはすれ違いましたし、つくはら休憩所付近には子供連れたママ友さんらがいらっしゃってました。2024年4月にも春キャンペーン展開してますし、テコ入れで利用者は大幅に増えているようです。

この後有馬温泉まで足を伸ばして銀の湯で汗を流した後、県道51号直滑降で帰路に就きました。

神出山田自転車道のまとめ

市長が「廃墟のよう」と言った道は伊達ではなく、荒れてるところは荒れ放題。反面、整備当初の力の入れ具合も見えようというところ。のどかな田園風景、湖畔の美しさ等見所はあります。

ただ、自転車道として見た時のポイントはやはり階段!自転車道なのに!ぼちぼち段数もあるのでこれは好みが分かれるところ。いっそシクロクロスで走るか的な。全体的にロードでノンストップで走る感じではなく、コロコロ変わる景色と道に小回り利かせながらポタリングの方が似合いそうな道で、折り畳み自転車やミニベロ向きかもしれません。

(再走後追記)
リニューアル後積極的な押し出しもあり、利用者は随分増えているようです。地元の飲食店なんかとも連携してるようで、そこそこ賑わいを取り戻しているようです。地方の自転車道なんて、すれ違いゼロとか珍しくもないので。

思い切って有馬方面まで整備してしまっても面白い気がするんですけれども。

旧国交省サイトの写真に角度を似せて撮影した写真の比較
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