片鉄ロマン街道は、岡山県備前市西片山駅付近から久米郡の柵原ふれあい鉱山公園までを結ぶ、およそ34.2kmの大規模自転車道です。廃線敷を活用し、かつて地域の営みを支えた列車の姿を想起させる、桜の美しい自転車道です。2020年4月3日走破。
片鉄ロマン街道の基本情報
正式名称は岡山県道703号備前柵原自転車道線。
通称片鉄ロマン街道。
2003年(平成15年)11月24日に開通、総延長は34.2km。現在岡山県は片鉄ロマン街道ルートとして本自転車道を含む76kmのルートを推奨ルートとしており、本自転車道個別の情報は見当たらなさそうです。ほぼ全ルートが元同和鉱業片上鉄道の廃線跡を利用しています。
起点 | 岡山県備前市西片上(山陽新幹線高架下) |
終点 | 岡山県久米郡美咲町吉ヶ原(柵原ふれあい鉱山公園=旧吉ヶ原駅) |
起点はJR西日本赤穂線西片上駅(無人駅)から1km。車の場合は2km先の備前市サイクリングターミナルに無料で停めることが出来ます。終点は陸の孤島で基本自走のみ、起点近くのJR山陽本線和気駅まで26km折り返すか、13km先のJR姫神線林野駅まで抜ける必要があります。遠方からだと起点まで岡山空港から2時間、新幹線岡山駅から1時間、大阪だと新幹線より新快速の方が懐的にも楽かもといったところでなかなかの僻地。
岡山県備前市西片上駅近くの山陽新幹線高架下を起点とし、和気駅を通過後、片上鉄道の足跡を辿りながら、終点柵原ふれあい鉱山公園まで吉井川を遡ります。
片鉄ロマン街道を走る
そうだ、桜を観に行こう。
ということで一路岡山へ。JR東海道山陽本線で新快速で姫路まで、乗り換えて赤穂線鈍行でおおよそ2時間少々の行程で西片上駅まで列車輪行です。西片山駅は無人駅ですが改札はICOCA対応。駅を出てすぐ西の階段から下の道路へ降りると片鉄ロマン街道の誘導標識がお出迎え。
1kmほどえっちらおっちら、山陽新幹線の高架に差し掛かったところが片鉄ロマン街道起点です。スタート地点標識と、すっかりお約束になったブルーラインもしっかり。0キロポストからスタートです。
走り始めてほどなく、在りし日の片上鉄道の写真を嵌め込んだオブジェが。標識、電柱跡等、現道と比較するとここが廃線敷であることを明確にイメージできますね。かつての列車の姿を思い浮かべながら走り始められるなかなか粋な演出。
スタート直後にいきなり70mほど上る峠越えの坂になってますが、斜度は3%ほどですし問題にはなりません。というかこの初っ端が全行程で一番キツイ坂だったりします。早々にお出迎えしてくれる桜を眺めつつ、峠清水トンネルを目指します。
峠清水トンネルに着いたらいったん坂は終了。この後も多少ゆるい高低差はありますが、以降はほぼ平坦。この峠清水トンネルが片鉄ロマン街道の入り口、と言ってもいいかもしれません。トンネル抜けて片山鉄道をなぞる旅へ、いざ。
ここから列車で進むように、片山鉄道のかつての駅跡地を活かした休憩所等が次々現れます。かつて走っていた鉄路をイメージさせる大変よろしい演出。
途中、運悪く工事で通行止めがあり、迂回を余儀なくされました。迂回案内もしっかりしているあたり、自転車道の力の入れようがわかろうというもの。こういうところで差が出る。
ほどなく和気駅へ到着、立派な自転車道案内板が迎えます。ここで8kmくらいで行程の1/4ほど。かつては片山鉄道ホームへ至るための構内通路だった自由地下道を抜けて線路を超えます。
和気駅前から金剛川を越えて、道はひたすら吉井川を遡っていきます。
天瀬駅跡はホームだけでなく駅舎も保存されており、絶好のフォトスポット。
天神山1号2号をトンネルを抜けると、ここも桜の見所である岩戸桜並木へ。約2kmの桜並木ですが、近隣に公園や駐車場が無いため自転車で来るのがベストソリューションのナイスな桜名所です。
この他にも特に名所でもなんでもないところの桜が美しい。景色に気分よくしつつ、鉄路の跡地を辿って進んでゆきます。特に苦木駅は天瀬駅と並ぶ片鉄ロマン街道の撮影ポイント。
備前福田駅と、美作飯岡駅は自転車道が跡地を通りません。現地へは行けますが、駅があったんじゃないかなというのはかろうじて分かる程度。美作飯岡駅の先は現在は道ですらないですし。
ここで昼食を摂ります。サイクルラックを完備してるあたりさすが自転車道の途中にある食事処。
ここから先の周匝吉井川河川桜並木も素晴らしい桜並木です。赤い自転車道と桜並木、流れる川と望む山並みの対比が美しい。のどかで空気がよく、走ってて気分爽快。
ここから正規ルートは一旦国道374号線で吉井川左岸へ渡り、県道26号線で吉野川を渡って戻ってくるという大回りルートなのですが、まっすぐ美作飯岡駅に向かう旧路線通りの橋が架かっておりショートカットが可能です。ここまで来ると終点まで3、4kmほどと目と鼻の先。
尚、片鉄ロマン街道ルートへの分岐点に案内板が立っているのですが、Googlemapの2015年時点では何も立っていません。決まったのが2017年あたりなのでそりゃそうか。
旧吉ケ原駅跡地、柵原ふれあい鉱山公園手前が片鉄ロマン街道終点となります。
片山鉄道の車両が動態保存されており、駅舎等結構見てるだけでも楽しく、ゴールの満足感を演出してくれます。ちなみに近所に有名なたまごかけご飯のお店があるのですが、生憎定休日というか土日祝しか営業してません。
そのまま折り返して和気駅から帰路についたのですが、距離考えたらまっすぐ津山方面に抜けて岡山随一と言われる津山城の桜を見に行くのが良かったですね。後で後悔したものの、この時点では下調べが甘く把握していなかったのでした。
津山城PRのドローン映像なんてまさに走ったその日が撮影日やないかーい!
片鉄ロマン街道のまとめ
標識一つの気合の入り方見てもきちんと整備されており迷うこともなく、廃線跡ならではの緩やかなコース取りに上場の路面状況と、単純に道路として素晴らしい自転車道です。ここまで10本自転車道走ってますが、ちょっと感動したくらい。
それに加え廃駅跡を利用した休憩所にトンネル、美しい桜と、走ってて目を楽しませる要素見所もしっかり作っており非の打ち所がありません。終点に待つ柵原ふれあい鉱山公園の列車動態展示群も達成感を満たしてくれます。敢えてケチつけるなら、道中が辺鄙すぎてトラブった時の輪行メリットが活かしにくいくらい。
廃線跡の自転車道は良い道が多いと聞きますが、こちらもその例に漏れません。ぜひ桜の季節に走っていただきたいコースです。