加悦岩滝自転車道線は、京都府与謝郡与謝野町滝から与謝野町岩滝までを結ぶ12.2kmの大規模自転車道です。加悦鉄道の歴史を辿りながら「丹後ちりめん」発祥の地である与謝野町の田園風景を駆け抜け、天橋立を目指します。2024年9月14日走破。
加悦岩滝自転車道線の基本情報
正式名称は京都府道803号加悦岩滝自転車道線。
通称は加悦岩滝自転車道線または加悦岩滝自転車道。令和元年(2018年)に隣接する栗田半島天橋立シーサイド自転車道と併せて天橋立ちりめん自転車道の愛称が付けられました。
総延長12.2km、平成元年(1989年)整備開始、平成10年(1999年)整備完了。
起点 | 与謝郡与謝野町滝(加悦SL広場跡横) |
終点 | 与謝郡与謝野町岩滝(岩滝橋北詰) |
起点最寄りは京都丹後鉄道与謝野駅でおおよそ8kmで自転車道の途中にあります。終点最寄りは同じく京都丹後鉄道天橋立駅から1.5km。
京都府与謝郡与謝野町滝の加悦SL広場跡及び道の駅シルクのまちかや側を起点とし、加悦鉄道廃線跡を進行。かつての駅を示す案内板を通り過ぎながら与謝野町役場前を通過。2箇所の休憩所を経て与謝野駅前からはしばし京都丹後鉄道沿いを進み、石田橋からは野田川河川敷及び堤防上へ。終点、与謝野町岩滝の岩滝橋北詰へ至ります。全区間が与謝野町内で完結し他自治体を経由しません。
終点で共に天橋立ちりめん自転車道を形成する栗田半島天橋立シーサイド自転車道と接続します。
加悦岩滝自転車道線に至るまで
直前の栗田半島天橋立シーサイド自転車道を走った後。途中通り過ぎた同日2本目の加悦岩滝自転車道起点を目指して、天橋立を走ります。
天橋立自体が3.2kmの府道607号天の橋立線として指定されており、日本100名道にも選ばれています。自転車や125cc以下の原付きは走行可能ですが基本砂利道。スリックタイヤでも走れますが、ビッグアップルやビリーボンカーズなら尚良し。
天橋立を通り旋開橋を越えて、天橋立駅前を通過し国道176号線沿いに起点を目指します。
模型店ローソン
途中で水分補給(この日は気温36℃)のためローソンに立ち寄ったのですが、そこで山積みされたMGνガンダムとサザビーとかいう想定外過ぎる光景に出会い三度見。壁際にミニ四駆パーツもズラッと並んでPitBoxまで置いてある。当日は「そんなことある?あるかも」と狐につままれた思いで店を出ましたが、後日変わり種コンビニとして取り上げられた記事を発見。いや、ミニ四駆どころかガンプラ扱い始めて模型店一直線ですが(コンビニ店内は基本撮影禁止なので写真無し)。
自転車道のすぐ近くなので、途中で立ち寄り可能です。そんなこともありつつ。向かい風の中走ること14kmほど、起点へ到着。
加悦岩滝自転車道線を走る
起点から交差点を挟んで対角線に道の駅シルクのまちかやが見えます。自販機やお手洗いはこちらで。
別の交差点角には加悦鉄道の終点、大江山鉱山駅跡に開設された加悦SL広場跡。かつては加悦鉄道の車輌を中心に27輌、うち11輌を動態保存する鉄道保存観覧施設でしたが、2020年3月末をもって惜しまれつつ閉鎖。現在立ち入りはできませんが、陸橋の上から荒れ果てた施設と他所へ引き取られなかった車輌が姿を晒しており、ポストアポカリプス的哀愁を漂わせています。
C58はかつての主力・名車両で、先日営業終了した釜石線の「SL銀河」や秩父鉄道の「パレオエクスプレス」として復元・運用されている車輌が存在します。
加悦鉄道4号車は与謝野町文化遺産でありながら解体の危機にありましたが、2024年10月クラウドファンディングが行われ無事ネクストゴールまで達成。千葉県いすみ市ポッポの丘へのお引越しが決まっています。余談ですがクラウドファンディングにレェル・ロマネスクが支援しており、漠然とえっちなゲームだという心象持ってたのでえらい方向の発展に面食らいました。
起点
加悦岩滝自転車道線の起点は交差点の角から始まります。
加悦SL広場跡が大江山鉱山駅跡に開設されているように、1985年廃止の旧加悦鉄道の廃線跡に整備された自転車道となっています。原付き・単車進入禁止表示の意匠は栗田半島天橋立シーサイド自転車道と同一。木立と建物の間を通り抜けるようにスタート。
廃線跡自転車道の最大の魅力はやはりこのまっすぐ伸びるストレートでしょう。左右の見晴らしもよく超爽快。気分よくペダルを回します。
途中、元々駅があったところにはその痕跡を示す案内板が立っています。「加悦鉄道廃線跡を訪ねて」のタイトルとともに来歴や往時の駅舎写真記載されていますが、駅舎そのものは殆ど残っていません。
起点から2kmほど、道路の先に与謝野町役場加悦庁舎が見えます。
自転車道がぐるっと回り込むように通っており、通りすがりに庁舎を覗き込みますが、ここはかつての加悦鉄道の転車台跡。円形広場として残されています。
足元の自転車道には線路をイメージした路面塗装がされています。少し剥げてますがここ10年以内に整備されたようで、まだ色は綺麗ですしこういうのはシンプルにテンション上がるー。
(熱暴走で)写真撮れてないのですが、上の写真の衝立の向こう、車道の先には旧加悦駅舎を再利用した加悦鉄道資料館があり、加悦SL広場から移設された加悦鉄道2号車が自転車道からも見えます。
進行中、どこからともなくガシャコンガシャコンと、おそらくは名産の丹後ちりめんを織る織り機の音が聞こえていました。
加悦休憩所(3km~)
大凡2.8km地点には旧加悦駅跡地に加悦休憩所があり、お手洗いが併設されています。加越鉄道資料館の建物はここから曳き移動したそうで。加悦SL広場跡の旧大江山鉱山駅跡からこの旧加悦駅跡までは元々ニッケル鉱石運搬用の専用線であったため、ここから与謝野駅近辺あたりまでが「加悦鉄道」の営業区間になります。
ここには自転車道の案内図も設置されており、例によって剥げかかってバキバキ。しかし、この時代の図としては珍しく公式サイトの方に画像データで掲載されています。
どんどん進んでいきます。途中結構な頻度で車道を超えるのですが、通行量は多くなく、信号もありません。
基本、旧駅跡近辺には線路意匠の路面舗装がされています。見ての通りで路面状況もなかなか良好。
ちょいちょい路面に自転車マークとブルーの青矢羽が描かれている区間があり、わりと最近も路面がメンテされてそうな感じ。大変走りやすい。
旧丹後四辻駅跡近辺は一瞬住宅街になりますが、またすぐ田園風景が広がります。
野田川休憩所(7km~)
7kmほどのところで、旧水戸谷駅跡こと野田川休憩所に到着。こちらもお手洗いを備えた休憩所になってます。
野田川休憩所を過ぎてすぐ、国道312号を横断します。確かルート上ここが唯一の信号だったはず。
起点から8km少々、京都丹後鉄道(KTR)の与謝野駅横にある旧丹後山田駅跡へ到着。ここまでが加悦鉄道の営業区間で「加悦鉄道跡を訪ねて」の表示もここが最後。
奥の方にちらっと見えていますがこの辺りは2022年8月にLED照明が設置されており夜間も安心。自転車道はKTRと野田川の間を進んでいきます。
府道2号線と合流するところで道は野田川河川敷へ。
ちなみにここで京丹後野田川石田橋を渡ると、冒頭の模型店ローソンへ着きます。大きく曲がって野田川方面へ進むKTR鉄橋の下を潜って進行。河川敷まで降りるため大雨の増水時は通行不能になります。
道はすぐに折り返して堤防の上へ。このあたりは全長3550kmの野田川ジョギングコースとしても整備されており、路面状況は良好。
地面に金属プレートが埋まっていて、何かしらのキャラが描かれているのですが、正体わからず。どっかで見たような気がしないでもないのですれども……。
野田川堤防上は路面状況良好、周辺の植え込みなどもよく整備されておりなかなかの快走空間。気分良くペダルを回していきます。
終点
マラソンコースの3kmほどを走りきり、緑色の岩滝橋を過ぎたところで折り返して橋の上に上がれば終点です。
栗田半島天橋立シーサイド自転車道経由で天橋立駅方面へ折り返し、帰路に就きます。予定していた帰りの特急「はしだて」へ乗車。J-WESTチケットレスなどを使うとちょっとお得に乗車できます。
さらに福知山で特急「こうのとり」に乗り換え大阪へ帰還、行程終了です。
加悦岩滝自転車道線のまとめ
廃線跡はいいぞ。
路面状況は一部荒れがありますが線路意匠の路面塗装が残っているなど大変良好。標識も整備されていますが、そもそも分岐が殆どないので迷うところがほぼありません。基本地図要らずで、勾配がほぼなく全線平坦、距離が12.2kmと短いこともありのんびりポタリングに最適。車道との交差が多いので飛ばすには不向き。
補給ポイントは起点の道の駅シルクのまちかやの他は道中にいくつか自販機がある程度。ただし途中の橋で野田川を渡ると国道176号線沿いにいくつかコンビニがあります。お手洗いは休憩箇所2箇所に設置、距離も短いので問題になることはまあないかと。
起点側最大の見所であった加悦SL広場が閉園してしまいましたが、道中の旧加悦駅舎を再利用した加悦鉄道資料館でSL広場から移設された2号機関車を含む4輌の車輌含や鉄道歴史資料を展示中。また「加悦鉄道廃線跡を訪ねて」の案内板と線路ペイントが比較的最近(2013年時点は存在しない)設置され、かつての加悦鉄道の風景を連想させます。終点からはそのまま天橋立観光へ。
まっすぐ伸びる気分爽快ストレートにかつての加悦鉄道車窓を思い起こさせる田園風景。往復しても20km少々ですので、天橋立観光といっしょにこちらに寄ってみるのもよいのでは。