K3、しまなみ海道サイクリングロード(今治側)を往く

大規模自転車道

しまなみ海道サイクリングロード(今治側)は、今治市から大三島までを結ぶ、およそ48.9kmの大規模自転車道です。ナショナルサイクルルートに指定され国際的にも名を知られた、説明不要のキング・オブ・大規模自転車道。2022年5月8日走破。

しまなみ海道サイクリングロード(今治側)の基本情報

正式名称は愛媛県道325号今治大三島自転車道線
通称しまなみ海道サイクリングロードまたは単にしまなみ海道
広島県側の大規模自転車道と合わせてしまなみ海道サイクリングロードを構成し、この名称が定着してから、かつての瀬戸内海横断自転車道の呼称は使われなくなりました。
国内唯一の海上横断自転車道で、1999年(平成11年)に全架橋の開通をもって全線開通とされ、2006年(平成18年)に未共用だった自動車道を含む全線が開通。2012年(平成24年)にはしまなみ海道の代名詞でもあるブルーラインの全線整備が完了。

本来自転車通行は有料(全区間トータル500円)ですが、2012年(平成24年)の試験無料化を皮切りに、地元自治体及びスポンサーによる負担でサイクリングフリー期間が設定・更新され、現在2024年(令和6年)3月31日までは無料で通行が可能になっています。

起点愛媛県今治市高部(国道317号交点)
終点愛媛県今治市上浦町盛(愛媛県道51号大三島環状線交点)
大規模自転車道とは?

起点最寄り駅はJR予讃線波止浜駅、小さな無人駅です。というか天下のしまなみ海道、今治市のアクセス情報今治地方観光協会のアクセス情報に詳しいです。終点は島の上かつしまなみ海道中間点ですので考えるだけ無駄。特に今治へゴールした後の帰路は事前に考えておかないと結構大変です。主な長距離交通手段はフェリー、または新幹線で岡山から瀬戸大橋経由の予讃線等。かつてはしまなみサイクルバスという尾道-今治間を結び自転車が載せられるバスがありましたが、既に廃止になっています。

愛媛県今治市を起点として、来島海峡大橋を渡って来島へ、伯方・大島大橋を渡って伯方島へ、大三島大橋を渡って大三島へと、次々海上大橋を渡り終点上浦町盛へ至ります。

支線が多々羅大橋上で広島県側のしまなみ海道と接続しますが、位置づけ的にはこちらが完全に本線。

しまなみ海道サイクリングロード(今治側)を走る

チャリダーなら走るべき道、というのが幾つかありますが、しまなみ海道はその最たるものでありましょう。ずっと行かねばと思いつつ病禍による行動制限もあり先延ばしにしていたのですが、ゴールデンウィークの機会にわりと勢いで向かうことに。まだ自粛モードなのでそれほど混雑もなく。大三島で宿を取り一泊二日の行程です。

今更説明不要の天下のしまなみ海道ということで、寄り道多めでお送りします。

しまなみ海道への道程

尾道側からスタートしてしまうと行きは良い良い帰りは?になるので、今治側からスタート。交通手段は自転車大プッシュのオレンジフェリーで大阪南港から東予、着いた後は電車輪行です。22:00大阪南港発のおれんじえひめに搭乗。乗船手続き時に着いた後バスを使うかどうかなど確認されます。

フェリー甲板からの大阪南港を臨む
豪華客船のようなオレンジフェリー内部の様子
明石大橋ライトアップ

乗ってしまえば着くまでのんびり船旅満喫。途中明石海峡大橋のライトアップなどもありますが、しっかり見てると睡眠時間が微妙なことになります。雑魚寝部屋のような客室はなく、シングルは殆どビジネスホテルの様相。輪行だと特に意識することはないのですが、普通にロードなんかでも別料金で甲板に置けたり、自室に持ち込めるサービスがあります。

翌日6:00に東予に着くと無料の直行バスが出ているので壬生川駅行きへ乗車。その他今治等へ直接行くバスも出ていますが、こちらは輪行不可です。大人しくJRで輪行しましょう。

結構待ち時間があるのですが、待ってる間にお隣のダンナから「K3ですか?」と声をかけられ、ふと見るとダンナも細長い荷物らしきものを抱えていらっしゃる……そのシルエットはCarryMeですな?「いやー、導入したので試走に来たんですが今日中に尾道まで着かなきゃならなくて」……変t、いやガチの方でいらっしゃいましたか。

壬生川駅外観

しまなみ海道の最寄り駅は波止浜駅、大凡30分。油断してたら思いのほか乗客が多く、ちょっと自転車の置き場に困りました。

しまなみ海道サイクリングロードスタート

波止浜駅外観

波止浜駅からしまなみ海道を目指したスタート。大規模自転車道の起点は波止浜駅から南東に500mほどの317号交点らしいですが、整備されすぎて逆に明確な標識が見当たらないという状況です。波止浜駅から県道161号線まで出て、ブルーラインに従ってGo。

ブルーラインは尾道まで70km指示、右に曲がるとサンライズ糸山

ちなみにサンライズ糸山には思いっきり行きそびれました。近くにあるよという標識は出てるものの、どこから入ればいいかわからず、気がつけば橋の上に居たという……。

来島海峡大橋入り口の立派な案内板

まずは第一の橋、来島海峡大橋を渡ります。来島海峡大橋は3つの橋で構成される約4.1kmの吊橋で、高さも70mあるしまなみ海道最長の橋です。……ということは、平地からは登らなきゃならないわけで。しまなみ海道の橋は大体40m~70m程度の高さがあり、スロープは斜度3%前後に設定されているため、橋ごとに1km~2kmくらいのぐねぐねしたスロープを上り下りするのがお約束になっています。しまなみサイクリングロードは自動車道より走行距離が10kmほど長いのですが、大体これのせい。

来島海峡大橋は距離があり、高さもあるため視界も開けているという「ザ・しまなみ海道」という橋脚。尾道側から来た場合は沈む夕日が美しかったりするわけですが、今治側スタートだと最初からクライマックスで「しまなみ海道に来た!」って感じ。

来島大橋の走行は至福の時間
本来であれば通行料を支払う関所
このままずっと走っていたいストレート

大島エリア

楽しい橋の時間も永遠には続かず最初の島、大島へ。他の島は掠めるような通り方をするのですが、この大島は完全に縦断するため、普通に走るとこの大島が今治側の走行距離のかなりの割合を占めます。

妙にダイナミックな衝突警告案内板

降りてすぐ道の駅よしうみいきいき館がお出迎え。お土産を購入するドライバー、休憩するチャリダーらで賑わいます。道中休憩スポットには困らないのですが、お手洗いや軽い腹ごしらえ等はここで。

道の駅よしうみいきいき館
案内板も超立派!

一服していざ進むわけですが、しばらくはわりと普通の道になります。国道317号線沿いに島のど真ん中を通ることになるので、海岸線のような見どころもしばしお預け。起伏もそれなりにあるのでわりと淡々と進む感じになります。

大島の自転車道はわりと普通の道

寄り道、いざ絶景を求めて亀老山へ

ここで少し寄り道。1.5kmほど進んだところで右折し、標識に従って亀老山を目指します。

亀老山入り口、地獄の一丁目

さて、亀老山の標高は300m少々。写真にある通り展望台に至る林道起点からの距離は2.8km。既に多少登っているとはいえ、ここから導かれる結論は平均斜度10%前後という激坂です。平均なので当然それ以上の箇所が普通にある。最初こそ頑張るもののすぐに登れなくなり、基本手押し、たまに坂が緩んだら漕ぐ、を繰り返して登ってゆきます。

1km毎に励ましてくれるけれど現実も突きつける
登ってる途中で既に絶景、そして坂

登ってる途中にも展望スペースがあったりします。ロード乗りでも手押し組多数。結局1時間近く掛かって登りきり、藻塩アイスを食しながらもう二度と登らねえと心に誓うのでした。次来るとしたら道の駅でタクシー呼ぶ、絶対だ!

駐車場と売店のあるゾーンから、展望エリアはもう1段登ったところにあります。ここがしまなみ海道随一の眺望と評される亀老山展望台。何故上るのか、そこに絶景があるから。

亀老山展望台入り口、自転車担いで階段上りました
愛媛側眺望、展望台自体の力の入り方もかなりのもの
来島海峡大橋を臨む、しまなみ海道を代表する絶景、多島美!(CV:結城比呂)

おりたたぶ2話冒頭のイメージで訪れてたのがここですね。さすがにオールドさんや△で亀老山激坂は無理なのでドロハンツーリング仕様になってましたけど。この絶景というか開放感は写真では伝わらないので、ぜひ一度足を運んでいただきたいところ。但しチャリで行くなら覚悟は決めよう。

ということで1時間かけて登った坂を5分で下り、国道317号の自転車道に復帰です。基本的にはよく整備された普通の道なのですが、途中ここ半年~1年で舗装され直したと思しき路面が随所にあり、高速自転車道ばりの快適走行を満喫。この道が出来て、ずっとこの道だったらいいのに。

まっさらなアスファルトと美しいブルーライン

Googlemapで以前の路面を見てもそこまで荒れたイメージはないのですが、整備に余念がないのはさすが。海岸に到達したら県道49号線に乗り換え、海岸沿いに次の伯方・大島大橋を目指します。海が見えるとテンション上がるう。

伯方・大島大橋を臨む海岸線
伯方・大島大橋は1.2kmほど

それほど長い橋ではないのと、先に来島大橋を渡ってしまうと若干見劣りがしてしまうのとで、眺望は満喫しつつも軽く通り過ぎます。

伯方島エリア

塩が名産なのは誰もが知っている……認識しているかどうかは別にして。伯方島の自転車道は端を掠めるように進むため、普通に通ると4kmほどであっという間に通過してしまいます。だからというわけではありませんが、昼食にちょっと寄り道。再度国道317号に合流し5kmほど反対方向へ走って博多ならぬ伯方の塩ラーメンを食しに「伯方の塩ラーメン さんわ」本店へ。

は・か・た・の・しお!ラーメン、今治にも店舗あり
あっさり風味の塩ラーメン

運動した体に塩がよく染みる。橋まで取って返してさあルート復帰、と思ったら即ドルフィンファームしまなみにキャッチされます。桟橋渡って目と鼻の先でイルカとのふれあいが出来ます。下手な水族館より全然近くて入場料500円。すぐ隣の道の駅伯方S・Cパークで食後のデザートに伯方の塩ソフトをいただいて今度こそ本線復帰。

ドルフィンパークでイルカに挨拶
道の駅伯方S・Cパーク
伯方の塩ソフト

道としては特に見るべき点がなく。国道317号線沿いに走り始めたならすぐ次の大三島橋へ向かいます。

大三島橋上の様子

大三島橋は唯一のアーチ橋という特徴を除けば距離も短いので、サクッと渡ってしまいます。

大三島エリア

しまなみ海道サイクリングロードとしては海岸線沿いを4kmほど掠めてすぐ次の生口島に渡ってしまうのですが、今治大三島自転車道としてはそちらはあくまで支線で、本線は大三島を大きく逆Sの字に縦断するように通っています。

大三島はしまなみ海道サイクリングロードのほぼ中間点でもあるため、サイクリスト向けの宿泊施設等も複数。

大三島橋から降りるスロープのポストに「今治大三島自転車道線」表記

大三島橋を降りるとすぐ海岸線の国道317号線に合流し、北を目指します。4kmほどで道の駅多々羅しまなみ公園に到着。

海岸線に出ると多々羅大橋が視界に

そしてここには「サイクリストの聖地」の記念碑があります。堂々と聖地を名乗るとか凄い自信だな?と思いますが、びわ湖でも聖地名乗ってますし相応しい力入れてやるのが大事なのでしょう。多分。

サイクリストの聖地の記念碑

とりあえずこの日は近くのサイクリスト向けホステルI-LINKで一泊。そして翌日。県道21号線と並走する自転車道を通って大山祇神社方面へ向かいます。道程は峠越え、足を付くほどではないですが。

県道21号線と並走する自転車道

大山祇神社は日本総鎮守と称される由緒ある神社で、数多の国宝、樹齢2600年を数える御神木等見どころ多数ですが、サイクリスト的には昔の武将が兜に仕込んだお守りに倣ったヘルメットお守りが人気らしい。

当日は行程の都合もあってここで引き返したので、一旦終了です。

自転車道自体はここから海岸沿いに北へ上り、再度の峠越えを経て終点へ。終点はGoogleMapで確認できる盛休憩所。途中のポストに「ゴール地点まであと○○km」と明確に記載されてるので広島側のサイクリングロードとしての設定はしっかり生きている様子。2016年春頃まではゴール地点直ぐ側に盛キャンプ場があったようですが、現在は閉鎖されており特に目的になる施設はなさげです。整備状況も問題ないというか普通に良さげなので折り見て再訪したいところ。

しまなみ海道サイクリングロード(今治側)のまとめ

元々経緯的にも今治側の方がサイクリングロード整備には熱心だったらしく、素晴らしい自転車道に仕上がっています。というか愛媛県自体がかなり自転車に熱心。加えて、来島大橋や亀老山展望台、ほぼ真ん中ですが聖地記念碑など見どころもわりと此方側に集中しています。

道は国道・県道の共用部分等は一部路側帯っぽくなったり普通の歩道っぽいところもありますが、整備状況及びガイドは全く問題なし。バリバリ改修かけてる様子見るにそのうち改善されるでしょうし。そして売りの高架橋からの眺望、多島美は唯一無二。さすがのキング・オブ・自転車道。

ただし今治側の難点はやはりアクセス。JR予讃線は1時間に普通1本特急1本のペースなので、乗り遅れるとわりと大変。本州に帰還する手段もわりと限られる上にアクセスもよろしくない。基本、出発は予定通りに動けますが帰還は体調や気象などの各種コンディションにも拠るので、よほど余裕があるか四国在住でもない限りゴールは尾道側に設定しておいた方が無難です。

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