吉備高原自転車道は、岡山県岡山市北区新庄下から加賀郡吉備中央町までを結ぶ30.1kmの大規模自転車道です。日本三大稲荷の一つである最上稲荷を詣でた後に吉備高原都市を目指します。2024年7月7日走破。
吉備高原自転車道の基本情報
正式名称は岡山県道701号岡山賀陽自転車道線。
通称吉備高原自転車道。
計画延長30.1km、昭和55年(1980年)整備開始、平成元年(1989年)整備完了。
起点 | 岡山県岡山市北区新庄下(山陽自動車道足守川交点高架下) |
終点 | 岡山県加賀郡吉備中央町吉川(吉備高原十字橋) |
起点最寄りはJR吉備線(通称桃太郎線)備中高松駅でおおよそ1.5km。終点は最寄りと呼べる駅が無い陸の孤島で、JR吉備線足守駅、JR津山線建部駅、JR伯備線備中高梁駅、いずれも15km~18kmある上に坂を伴います。むしろ岡山桃太郎空港が一番近い疑惑まである。岡山から出ている中鉄バスでの輪行はK3のサイズでも持ち込み可能手荷物の規定容積を越えてしまいます。
岡山県岡山市北区新庄下の山陽自動車道高架下を起点とし、足守川を渡り備中高松駅近くを経由して最上稲荷方面へ。折り返して備中高松城跡横を経由し、吉備高原を目指して北西方面へ進行。足守川沿いを遡上し途中からは国道429号線沿いに北上。黒谷タムを越えた後も国道429号線沿いを北上し、県道72号線との交点で乗り換え、吉備中央公園及び終点の岡山県加賀郡吉備中央町吉川、吉備高原十字橋へ至ります。
起点にて吉備路自転車道と接続します。
吉備高原自転車道に至るまで
吉備路自転車道を走り終え、終点から8kmほど折り返して吉備高原自転車道起点を目指します。
吉備高原自転車道ですが、わりと地元から近場にも関わらずトライに二の足を踏んでいた理由は2つ。
1つ目は、終点が完全に孤立しており往復を強いられること。ロードレーサーで片道30kmならなんら問題にもならない距離ですが、ミニベロで復路30km(実際は20kmくらい)はわりと飽きます。個人的所感として。
2つ目は、起点が岡山の平野部であるにも関わらずその名に「高原」を含む通り、坂道ルートであること。高低差350m、獲得標高500m程度と数字としてはそこまでではないのですが、後半20kmに渡って延々登り坂です。さすがにK3でこれはキツイ。ということでK9Xの登場と相成ったわけです。
岡山にある自転車道の中では扱いが悪い印象のある吉備高原自転車道ですが、表示等はちゃんとされており。というわけで、山陽自動車道高架したより出発です。
吉備高原自転車道を走る
工事中で進入不可になっている高架下側からスタート。近隣の看板に案内表示はありますが、起点を示す標識的なものはありません。工事終わったらなにか設置されるだろうか。
白線も消えてますしちょっとおざなりにされてる印象はありますが、足守川に架かる橋は「末永自転車道橋」という専用橋です。現状のメンテ状況はともかく橋架ける程度には力が入っていたということですね。
一路備中高松方面を目指して進みます。しばらくは田んぼとか住宅街の間を進行。
JR吉備線と交差するところは陸橋で越えていきます。これも写真撮りそこねてるのでうろ覚えですが「吉備高原自転車道橋」みたいな専用橋の模様。長さのある結構立派な陸橋です。
渡ったすぐ先には高松城水攻め史跡公園があり、かの豊臣秀吉が築いた堤防の一部が残っています。本能寺の変を受けての中国大返しの起点ですね。
そのまま進むと最上稲荷(さいじょういなり)の大鳥居に着きます。高さ27.5m、昭和47年建立です。地方に行くとちょいちょい大鳥居がありますが、高さは全国4位。鳥居がある通りこの毛野津341号線が最上稲荷の参道ですが、自転車道はその裏を入るように進みます。
備中高松駅近くから北北東に伸びるルートは旧中国鉄道稲荷山線の廃線跡を利用しており、非常に真っ直ぐで走り安い。途中、休憩所が儲けられています。水道があるのですが、蛇口捻ってみたら暑すぎてお湯しか出ませんでした。マジか。
2kmほど進むと最上稲荷入口のエリアになります。結構とんでもない規模の駐車場が広がってるのですが、日本三大稲荷である最上稲荷の三が日の参拝者は60万人以上とコミケクラスの混雑なのでこの規模も宜なるかな。
自転車道自体は鳥居をくぐった後、参道方面へは向かわず裏道方面へ。このあたりは高低差50m程度の登り坂になっています。そこまでキツくはないですが。
途中竹林を抜けたところで最上稲荷方面に向かうことも出来ますが、自転車道自体は池と墓地の側を通って再び大鳥居方面に折り返していきます。
備中高松城跡あたりまで戻って、今度は大鳥居と反対側の北西方向へ。大鳥居から最上稲荷方面へ向かわず直接こちらへ進行すると5kmほどのショートカットになります。田園風景の中の専用道を抜け、足守川に再度合流。
ここから足守川沿いに遡っていきますが、反対側に行くとすぐJR足守駅に出ます。
4kmほど進んで新宮地橋を渡り足守の住宅街方面へ。
足守周辺はかつて陣屋街として発展した区域で、現在も旧時代の町家が残る町並みとなっております。
尚、コース表示では橋を渡った後川沿いを走るルートになってますが、実際には足守歴史ふれあい通りまで直進して右折するのが正解です。このあたりは案内が若干不足気味なのでコース知らないと迷うかもしれません。
再び足守川に当たったところで足守川右岸を遡上します。
すぐに国道429号線と合流。以後、10km少々をこの国道とともにします。
片側に非常に広い歩道が取られており、ここが県道指定を受けているようです。途中、しっかり県道表記もありました。
このあたりから本格的に道のりが登り坂になってきます。
ここからはひたすら登り坂をペダル回し続けることに。斜度でいうとそこまででもないですが、とにかく緩まないですし長いので延々体力を削られ続けます。歩道は基本ずっと設置されてるのですが、たまに左右スイッチします。
このあたりはホタルの里として推されており、ちょいちょい案内看板がありますが日中ではそもそもどうしようもありません。シーズンも5月末から6月なのでちょっとずれてます。
ぜーはー言いながら足守から8km程、終盤のランドマーク黒谷(くろだに)ダムへ到着。
ここには日時計が設置されており、ダム堤防から下を覗き込むと確認が出来ます。設置意図なんかは特に書いてませんでした。その他は駐車場とちょっとした広場があるだけで、自販機やお手洗いなどは無い模様。
残りは10kmほど、ここから最終盤戦に入ります。黒谷ダムまででも登り坂手前の標識を最後に案内もなく、休憩ポイントはおろかロクな日陰さえ見当たりません。が、吉備高原に向けてまだ登らねばならない。
この日の気温は35℃超。高度があるので多少下がってるにしても、殆ど日陰も無く体感気温はなかなかえらいことになっております。そんな状況で坂道を登るとどうなるか?運動負荷で上がった体温が下がりません。結果すぐに体がオーバーヒートし必要以上に体力を奪われます。
すぐにぜーはー言うことになるため平時であれば問題ない坂が登れなくなり、10分走って5分休むを繰り返すような形になるのですが、日陰がなく休憩もままならない。直射日光化では休んでる意味が無い。昨年表示気温37℃の中江戸川自転車道走ったのでなんとかなるだろうと思ってましたが、坂の負荷をナメておりました。
そんな状況ですがなんとか県道72号吉備新線交差点まで。手前に(おそらく)美咲町旭に向かうブルーライン表示がありましたが、これが結果的にこの日見かけた最後の案内表示に。この案内が意図するであろう「岡山鏡野縦断ルート」はここから直進しますが、吉備高原自転車道は左折します。
残りは7kmほどですが、前述の通り体力的にだいぶキツイ上、ここからは単純な上りではなくアップダウンになってさらに嫌らしさが増します。この区間をGoogleMapで確認すると「ほぼ平坦なルート」とか出るのですが、5kmで100m以上登る道を平坦とは言わない。加えて道の整備状況もいよいよ怪しくなり。
水分も残り2kmで消費しきってしまい、いよいよ大ピンチ。手押しは無しで乗って休んで繰り返して、最後2kmで30分くらいかかりましたが、なんとか登り切りました。終点付近は吉備中央公園、きびプラザ等大規模なレクリエーション施設があり、一気に人里に戻ってきます。
精根尽き果てて30分以上補給と休憩の後、終点の確認です。
周辺探して見ましたが終点表記らしいものは見当たらず。岡山県の公式サイトでも推奨ルートに入ってないのでわかってはいましたが、起点があるんだから終点のプレート一個くらい置いてもいいじゃんとは。
再びきびランドのしっかり空調の効いた施設で体力を回復した後、倍速で来た道を折り返し。ルート途中最寄りの足守駅から帰還です。
これにて吉備高原自転車道完走です。
教訓:猛暑日に運動負荷の高いサイクリングはダメゼッタイ!!!!!
吉備高原自転車道のまとめ
ルート全体通して路面の舗装状況はしっかりしていますが、推奨ルートから外されている終盤はだいぶ荒れ気味。専用道区間も長く、自転車橋や陸橋等当初の力の入れ具合も見て取れます。案内も同様に終盤を除いてしっかりしており、トータルでは良好と言ってよいかと。
休憩所は1箇所ありますが、非常に簡易なもの。前半は基本的に街中や観光地走るので自販機や補給は容易ですが、足守川沿いに入ってから補給ポイントが減り始め、黒谷ダム手前から終点まで10kmほどは自販機一つ登場しなくなります。
前半はわざわざコースが最上稲荷を詣でに行っている通り明らかメインコンテンツ。備中高松城関連の史跡や廃線跡区間等もあり、足守の町並み等序盤の見所はなかなか。他方、後半15kmは少々単調。特に黒谷ダム通過跡は猛暑で周囲を見る余裕がなかったことを差っ引いても全く何もなく、ただ登り坂が続くだけのコースとなっています。
前半はちらほらすれ違う人もいましたが、足守を過ぎたあたりからは全く人を見かけなくなりました。吉備高原手前の終盤は推奨コースからも外れている通りメンテナンスもだいぶ放置され気味な感じなので、コースとしては黒谷ダム見たら帰るで良い気がします。前半は大鳥居を始め見所多数で景色も良いので、のんびりポタリングには良いのではないかと。