ビワイチ。日本最大の湖、琵琶湖を反時計回りに、北湖一周約160km、南湖一周約40km、フルで約200km走行するコース。しまなみ海道と並んで西日本を代表する、説明不要のサイクリングコースです。2023年11月4日北湖走破。
ビワイチの基本情報
琵琶湖一周、略して通称ビワイチ。
国土交通省指定のナショナルサイクルルート「ビワイチ」として認定されています。
おおよそで北湖一周160km、南湖一周40km、一周193km。
ゲートウェイとして米原駅サイクルステーション及び大津港サイクルステーションが設けられており、その他守山市のなぎさ公園近辺にサイクリストの聖地碑等が設けられています。
琵琶湖を取り囲むようにJR東海道本線及び湖西線が走っており、どこからでもアクセス及びリタイヤが可能。最も離れているところでも5km少々。メジャーな開始地点は大津、米原、堅田あたり。
琵琶湖湖岸を反時計回りに1周。時計回りに走る人もいますが、案内表示やコース設定の関係で走りにくくなってます。ほぼ平坦ですが湖東1箇所(藤ヶ崎龍神)、北部に2箇所(木之本賤ヶ岳古戦場付近、岩熊トンネル)、最大斜度8%程度の短めの坂があります。
西岸から起点であるなぎさ公園にかけてびわ湖レイクサイド自転車道を含み、東岸途中でびわ湖よし笛ロードと一部並走します。
ビワイチに至るまで
どっか行きたいがどこ行こう、でまだ走ってないビワイチに思い至りました。思い立ったのが11月1日でしたが、丁度行く予定の11月3日(~11月9日)はビワイチの日だとか。南湖周辺は整備状況がイマイチを見かけたので、とりあえず北湖一周を想定、余力があれば南湖も制覇する腹づもりで準備開始です。
ちなみにK3が出たばかりの頃に、北湖一周を6時間で達成している猛者を確認しています。尚、K3で150km近く走って巡航24km/h出てる時点で色々おかしいので一般人は参考にしてはいけません(大会とか出てる方らしい……)。
ビワイチの日ということもあってか宿が殆ど捌けてしまっており、取れた宿は湖西の安曇川近くという立地。スタートを守山市で想定していたので1日目で100kmほどを走らなければなりません。まあ100kmならなんとかなるしフルイチの中間点としては問題なし。
季節が季節なので、日が沈むのが早いのが懸念ですが……というわけでJR新快速に乗って朝イチで大阪から滋賀へと向かいます。
出発はJR堅田駅から。琵琶湖大橋を渡って、スタート地点の「サイクリストの聖地碑」へ向かいます。
ビワイチを走る
今回はなぎさ公園にある「琵琶湖サイクリストの聖地」からスタートです。
この日は霧が出ており琵琶湖対岸は全く見えない状況でしたが、雨予報は無し。気温はこの季節にしてはやや高めで、長袖だと汗かく感じ。まずは一周してこのモニュメントまで戻ってくることを目標に、なぎさ公園をスタート、県道559号線沿いに走行開始です。
ビワイチはロード等であれば車道に引かれたブルーラインの高速ルート、ママチャリや電動自転車なら車道側に設定された低速ルートでの走行が基本になります。湖岸沿いの道は殆ど信号などもなく、非常に快適。交通量は多いので気持ち排ガスがきになるくらい。
見ての通り歩道側の整備状況もなかなかです。ブルーラインは湖側の道路にしか引かれていない通り、基本的に反時計回りで走ることを前提にしています。故に、反対車線側の歩道はだいぶ荒れてます。
琵琶湖を一周するので、琵琶湖に注ぐ、または出る河川を全て超えていくことになります。結果めちゃめちゃ橋を渡る。
ビワイチの日ということで、ロードに追い抜かれる機会もめちゃめちゃ多かったです。さすがそこらの自転車道とは通行量が違う。
白鳥川を渡ったところで右手から反対車線にびわ湖よし笛ロードが現れます。以前あちらを走った時はビワイチ側を見て「格差!」と思ったものですが、やっぱり整備状況は段違い。
びわ湖一周サイクリング認定システムのために、長命寺方面チェックポイントに寄り道。長命庵の蕎麦は聞いてみたら「1時間待ち」とか言われたのでスルーです。ここから左側の歩道がなくなるため、低速ルートはびわ湖よし笛ロード側に渡って合流します。
ここからしばらくは一度走ったことのある道。
特徴的な渡合堰が見えたら、橋を渡るよし笛ロードと別れ直進。観光を兼ねてビワイチを走る人であれば、ここでよし笛ロード側に進んでさらによし笛ロードとも分かれて直進、バウムクーヘンで有名なクラブハリエことたねやの「ラ コリーナ近江八幡」へ向かう人も多いようです。
ビワイチのはそこそこ内陸側を走ることも多く、イメージよりは湖が見えません。湖を感じない田園風景の中や住宅街走ってることも多いです。
スポットに寄るとロードが大体10両近くは停まってます。さすがの通行量。
この日はビワイチの日ということで数カ所の特設エイドステーションが準備されてました。利用方法がわからないのでスルーしましたけれども……。スポット近くにはキッチンカーが来てたりとか、なかなかのイベント感。
びわ湖に接続する河川は一級河川だらけです。
ビワイチコースから彦根城は1kmほどでアクセスできるので、観光であれば寄りたいスポットの一つ。この日は時間的に余裕も無いのでスルーしました。
米原周辺は古くから東海地方へつながる交通の要衝。現代でも新幹線及びJRはここ経由で東へ抜けますので、東から走りに来る方は米原をスタート・ゴール地点にする人も多そうです。
この辺はやや市街地気味なので、案内地図でもあまり速度出さないように指示されていたりします。
「道の駅 近江母の郷」ではこの日は何やらイベントだったのか、キッチンカーが出ていたり、近所の童らがよさこいを披露したり、結構な人でごった返しておりました。ちょっと足を休め、苺ジェラートいただいて休憩。
彦根城は自転車道からは見えにくい(というか城壁しか見えないはず)のですが、こちらの長浜城本丸跡は眼の前に現れます。彦根城が現存天守なのに大して、こちらは復元。結構な人出なので自転車はほぼ押し歩き。
さらに進んで道の駅 湖北みずどりステーション。特徴的な外観をしていて、結構大きな道の駅になってます。時間次第ではここで食事でしたがスルー。
木之本方面に向かい、余呉川を越えたところでさざなみ街道沿いを離れ専用道へ。このあたりから山が近くなってきます。賤ヶ岳あたりは道が高低にやや入り組んでおり、一瞬迷いそうになるところも。
そして、ここでビワイチ最初の大きな坂が登場。斜度8%前後、距離にして1km足らずなのでそこまでキツくはないですが、初心者で足が残ってなかったりするとちょっと苦労するかも。
このあたりからいかにも山間の湖北、奥琵琶湖といった風情になってきます。
このあたりはずっと琵琶湖湖岸沿いの道を走ります。山間の非常に閑静な道となっていて、山の方を見ると野生の猿がうろうろしていたり。湖沿い、または山側にキャンプ場が複数あり、車でやってきた家族連れが多数。ここでキャンプしたら猿に何か盗まれないかちょっと不安ですけれども。
山間に沈む夕日も実に幻想的。
……って言ってる場合じゃねえ!!!!!
ここは奥琵琶湖、率直に言ってド田舎です。そしてこれまでの写真見て分かる通り街頭などという文明の利器、小洒落たシロモノは全く立っておりません。日が沈むということは暗闇の中ライトだけを頼りに走ることを意味します。最低でも湖岸エリアは抜けて市街地に入らなければ危険がピンチ。
地元でもサイクリングロードは街灯なんて立ってないですからね……。目的の宿まで15分といったところで完全に日は沈み、先の路面状況が見えないため速度を落として宿を目指します。うっかりクラックに嵌って転倒でもしたらえらいことに。
走りながら足元から不吉な音が聞こえてきたのですが、なんとか宿に駆け込んだのでした。サイコン確認したところ、1日目の走行距離は90kmくらいだったはずなのですが、結果120kmくらい走ってました。そりゃ時間見誤りますわ……。
そして翌日。
ライト頼りに暗闇走りながら「パキーン」と甲高い音が聞こえまして、その後「カンカンカンカン」言うてましたので、わかってはいたんですよ。さすがに1日100km越えるとトラブル率が激増するようです。少し前にリム割れを起こして、純正ホイールそのままだったので限界が来たようです(K3純正ホイールのスポーク強度は怪しい)。見ての通り凄い角度で組まれてるので……。
仕方ないのでソロソロと段差や衝撃に気をつけつつママチャリ速度で進行、同時にフルイチは無しで北湖一周が確定。本当はホイール歪むので折れたらリタイヤするべきですが。何せK3はスプロケットとホイール一体の専用品で、リヤホイールクッソ高いので。
JR安曇川駅近くの宿を出発。まずはビワイチコース合流を目指します。
湖西は湖東に比べるとやや道が怪しく、市街地の「いかにも普通の道」がコースになっている部分が多いです。現実問題、新しく道でも作らないとこれ以上整備のしようがないとは思いますが。
湖岸沿いに進み、琵琶湖名所の一つ、「近江の厳島」こと白髭神社を通過します。
車道は琵琶湖西岸縦貫道路で近辺の基幹道路であるため交通量が非常に多いのですが、横断歩道もないので外国観光客のみなさんが写真撮影のために横断してて非常に危ない。地図見てたら韓国からの観光客に英語で道を聞かれ、スマホの翻訳アプリで会話する場面がありました。I can’t speak English!
路肩は広いところもあればめっちゃ細くなるところもあり、マイペースで走ってると車道側に膨らんだロードにガンガン抜かれるのでちょっと申し訳ない。低速ルート的な設定は無いようで、もうちょっと道幅ほしいですね。
堅田駅が属する大津市まで戻ってきました。湖西は北半分が高島市、南半分が大津市になっています。見ての通り路肩が先で狭くなっていてちょっと心もとない。
アクティブに整備されている自転車道お約束の工事通行止め。というか工事期間長いな。平成36年は最早永遠にやってはきませんが。このあたり回避の案内が微妙に怪しく進路にちょっと迷いました。結果的に住宅街の中を抜ける形で進行。
ヘキサと立派に舗装された路面とともに自転車道が登場です。びわ湖レイクサイド自転車道は南湖一週の場合ほぼ前線がルートに組み込まれる形になっています。こちらは別記事にて。
八所神社前で、低速コースと上級コースが大きく分かれます。上級コースは高島大津線の車道沿いを走り、低速コースはJR沿いに専用道を走行。びわ湖レイクサイド自転車道は低速コース側に設定されておりヘキサもありますが、道自体は途中で消えて正確なルートは不明。
本来進むべきは低速コース側だったのですが、この時点では誤ったルート表示を信じてしまい上級コース側へ。たびりんのルート、かなり間違い多いんですがどういうソースなんだろう。
上級コース側も基本歩道が並走しているので、徐行で走る分には問題ありません。
ここはすぐ裏側を低速ルートが通っています。このあたりは普通の市街地車道といった感じで、淡々粛々と進んで行きます。
なかなかに目立つ自転車屋「どてるし」側の交差点で、上級コースと低速コースが合流します。ちなみにこちら旅仕様自転車がお得意だそうな。
国道477号線にぶつかったところで左折しびわ湖大橋へ。ちなみに交差点角地に広大な工事現場がありますが、元イズミヤの跡地でカインズができるらしい。
琵琶湖大橋のたもとには「道の駅 びわ湖大橋 米プラザ」があります。そこそこ大きな道の駅で、休憩やお土産買ってるっぽいサイクリストもちらほら。
滋賀県最大級のショッピングモールであるビエリ守山ですが、リーマン・ショック後の不況時は最大200あった店舗が4まで減少し「生きてる廃墟」「明るい廃墟」として有名になってたりしました。今はテナントも駐車場も埋まってしっかり繁盛しているようです。
なぎさ公園まで到達し、北湖一周160km完走です。スポークが折れた以外は何ら問題なし、坂もそこまで影響なく。1日目走行距離120km、平均速度18km/h、走行時間6時間半、2日目走行距離35km、平均速度17km/h、走行時間2時間、合計で走行時間8時間半といったところでした。
スポーク折れてなければ2日でフルイチは全く問題なさそうです。余談ですが終了時確認したらもう1本追加で折れてまして、帰還後結局ホイール組み直すことに。
しばらく休憩し、写真撮影のお手伝い等してお昼過ぎに帰路に就きます。
フルイチとびわ湖レイクサイド自転車道のコース確認を宿題に残しつつ、K3ビワイチ終了です。
ビワイチのまとめ
全体的にほぼ平坦、コース案内充実、周辺施設の歓待バッチリとさすがのナショナルサイクルルート。普通の道に青矢羽書いただけみたいな箇所や路肩の狭い車道等、気になるところが無いわけではないですが、これだけの距離ですので致し方なし。今回行けなかった南湖周辺はちょっと整備が甘いと聞いてはいます。
基本平坦で一部坂も厳しいものではないので、折りたたみ自転車でも全く問題なし。ママチャリでもレンタサイクルでもなんら問題なし。わざわざママチャリで走るのは趣味人だけだと思いますけれども。風景の変化に富んでおり、各所見どころやスポットも点在してるので、わりと走ってて飽きません。
2023年度、ビワイチを走った人は過去最多だったようで、病禍明けで人が外に出たのもあるのでしょうけれど、整備やキャンペーンの結果も大きいのでしょう。
「ビワイチ」最多12万8000人…自転車で琵琶湖一周、初心者楽しめる低速コースも整備:地域ニュース : 読売新聞
そして途中ちらっと言及しましたが、ビワイチは一周ライド認定があります。あらかじめアプリを入れて登録しておき、東西南北に複数箇所設置されたチェックポイントで現地のクイズに答える形式。チェックポイント4箇所達成後、申請と手数料送付で認定証が送られてきます。北湖一周でもOK。
ちょっとした達成感を味わえます。
今後も関西の自転車の聖地として更に整備が進むことが期待されます。
車種問わず、自転車乗りなら一度は走っておきたいコースですね。