ロードレーサー等に限らずミニベロにも標準装備になりつつあるトップチューブのダボ穴。K3やK9Xにもご多分に漏れず設けられていますが、多少クセがあります。数多のK3オーナーが試行錯誤を繰り返すこの「ダボ穴」の利用方法について語ります。
K3/K9Xトップチューブのダボ穴
K3及びK9Xのトップチューブには「ダボ穴」と呼ばれるネジ穴が空いています。自転車における「ダボ穴」とはパーツを取り付けるためのネジ穴を指しますが、トップチューブに空いているダボ穴はボトルケージなどを取り付けるためのもので、2つのネジ穴の間隔は64mm、M5ネジを使うとして世界的に規格化されております(多分)。規格化されているので当然それに適合した様々なアクセサリが販売されており、ここをどう使うかがオーナーの個性や用途の差異が出るところ。
他方、これはミニベロ全般ですがトップチューブの位置が低いため、ロードレーサーでやるような走行中に手を伸ばしてドリンクを取る等には向かない位置です(そもそも小径車は走行中の片手運転自体が危険)。また、ダボ穴と折りたたみヒンジが近いため、ヒンジ側に飛び出るものは基本干渉します。
K3/K9Xのダボ穴私的結論
デキる人は結論から語る。
ということでK3/K9Xのトップチューブダボ穴に取り付けをオススメするのはこいつです。
TOPEAKのQRケージマウント。2枚の樹脂プレートがカチッと嵌まるようになっており、片方を本体に取り付け、もう片方をパーツに取り付けることで、ワンタッチで取り外しが出来るようになるという製品。お値段も1000円前後、5年使って割れたりとかもありません。頑丈さの裏返しで取り外しのレバーが気持ち硬いのと、折りたたみグリップのストッパーカバーに干渉するのが玉に瑕。
尚、TOPEAKは自転車王国台湾の企業で30年以上の歴史を持ち、高品質かつ多様なツール類等で広く知られます。株式会社マルイが国内総輸入代理店となっています。
コイツの導入により以下のようなメリットが齎されます。
- 自転車を離れる際気軽にアクセサリの取り外しが出来る
- 折りたたみに干渉するアクセサリも簡単に取り外せるため使用可能
- 気持ち高さを稼いでヒンジとの干渉緩和
- 複数導入によるシーンごとのアクセサリの使い分け
- 複数導入による自転車間のアクセサリ共有
ガジェットオタクマインド的にも実用的にもベストマッチと言えましょう。マウント交換でエールK3になったりソードK3になったり、はたまたエールK9Xになったりするわけです。
欠点はまさに取り外しが容易になるその点で、公共の場で自転車を放置した場合アクセサリが即盗難に遭う可能性が高くなります。ですので、そもそも高価なアクセサリを使わない、高価な品の場合は取り外して携行するなどの対策は必要。
……はい、QRケージマウントだけ付けても何の役にも立ちませんので本題はこれからです。
取り付けアクセサリの選択肢
前述のようにダボ穴は規格化されており様々なメーカーから多種多様なアクセサリが販売されています。どのようにK3/K9Xを運用するかしたいかで最適解は変わってきますが、走行中に使いにくいという前提条件があるため、必然ストレージやツール寄りの選択肢が増えがち。
トップチューブバッグ
個人的最有力選択肢の一つ。携帯ポンプ、パンク修理ツール、タイヤグライダー&レバー、マルチツール、簡易ケーブルロック等を放り込んでツーリングのお供に。QRケージマウントがあれば取り外しも用意なので、財布やスマホ、携帯食を放り込んで簡易バッグにしても問題ありません。
近年のバイクパッキングブームもあり、結構選択肢が増えました。語ると長くなったので別記事にて。
ボトルケージ
自転車のアクセサリといえばこれ、の定番中の定番です。ただしロードレーサー等のように走行中に抜いて取り出すというのは位置的にも小径車の特性的にも危険なので、基本足を止めて使用する形。
最大の問題は、K3/K9Xのトップチューブが水平なため、中身満タンの重量状態だとブレーキ引いた時ケージ強度が負けてミサイル化して吹っ飛ぶケースがあります。というか実際使って飛んでったのですぐ使うのを止めました。強度の高いボトルケージだと今度はクリアランスの関係で抜き差ししにくいということにもなりかねません。
横抜きタイプ(QRケージマウントごと抜いてもいいけど)にするとか、トップチューブバッグの代わりにツールボトル(ドリンクの代わりにツール類を入れるバッグ)に使うとか工夫したいところです。
追加ケージ・ストレージ
QRケージマウントと同じくTOPEAKにヴァーサケージという製品があります。
ダボ穴に取り付けて輪行袋やシュラフといったものをストラップで固定することが出来る代物で、K3に追加積載スペースを設けることが出来ます。
別名チェアリングモード。折りたたみ式のアウトドアチェアが(勿論サイズ次第ですが)乗ったりします。ギリギリですが、むしろミサイルにならないようにこの方が都合がいいくらい。多分有馬温泉土産の炭酸せんべいとかもいけるはず。ペダリングもちょっと気を使う程度で問題になりません。
但しこのヴァーサケージ、普通に取り付けると折りたたみヒンジに干渉します。
こちらのスペーサーもヴァーサケージと同じくTOPEAKにALT-ポジション ケージ マウントという製品が利用できます。
本来はダボ穴の位置が悪い場合にダボ穴位置をオフセットしてボトルケージ等を取り付けるためのアルミ板なのですが、高さがあるためQRケージマウントと組み合わせるとヒンジを回避することが可能。併せて、QRケージマウントで少し前方にオフセットされているのを後ろに引き戻して気持ちスペースを広く使えます。
そのまま折りたたみ可能ですが、干渉したとしてもQRケージマウントごと外してしまえばいいだけ。輪行袋に入らない場合も同様。
1.5Lや2Lのペットボトル載せて夏場の補給ポイント少ない田舎道も安心!とかはさすがにネタの域なので買い物用です。走行に支障が出るほどではないですが、幅あるので多少ペダリングは気になりますし。
むしろ積載スペース自体は逆向きに取り付けたほうが広くなったりします。こちらは折りたたみ時ハンドルポストが思いっきり干渉するので取り外し必須。
ベロキッチンさんで、K3でキャンプに行く積載の説明をしている動画が公開されてます。ヴァーサケージ自体はフォークにも取付可能なので(重量が許せば)結構な高積載モードにすることが可能です。さすがにフォークに取り付けたことはないですが。
類似の製品は複数あるので色々試してみてもよさそうです。
マルチユースサイクルマウント(ちょい載せホルダー)
DOPPELGANGER(ドッペルギャンガー)という大阪の会社が企画しているブランドがあり、過去自転車関連アイテムや自転車等を展開していた(現在は自転車事業を終了)のですが、商品にマルチユースサイクルマウントという「なんでもとりあえず載せてしまう」ものがありました。下記リンク先がその用例。
街乗りでツールバッグやボトルケージ付けててもなー、というような時にとりあえず付けておくオプションにしてました。実際、脱いだアウターを丸めて挟んだり、缶ジュース挟んだりと、意外と便利に使えたりします。固定で付けたいとは思いませんが、QRケージマウントを台座だけ付けてても意味ないので「とりあえず」で装着しておく選択肢としては全然アリ。
DOPPELGANGERは販売を終了してしまいましたが、Amazonで検索すると謎中華から出てたり、GORIXでも同様のアクセサリを販売しています。
DOPPELGANGERは(品質は色々アレでしたが)結構面白いアイデア製品を展開してたので、終了は個人的に大変残念でした。
ロック
こちらは実際やってないので机上の空論です。
K3やK9Xがいかに機動力に優れるとはいえ、さすがにいつでもどこでも折りたたんで持ち歩くわけにはいきませんので、鍵は必須です。とはいえママチャリのような鍵は付けられませんし、よしんば付けたとしてヒョイと持ち上げて盗めてしまう軽量さなので、リスクの高い街中で停めて離れる場合等は信頼性の高い鍵での地球ロックがほぼ必須です。
例えばABUSのBOARDシリーズ。
なんと重量1.5kg!携帯できるかこんなもん!というわけで、この手の鍵にはダボ穴取り付けが可能なホルダーがセットになっています。
重量もある上に鍵自体が高価なのでできれば常設したくない系の装備ですが、QRケージマウントであればセキュリティモードで鍵を使う必要のあるリスクの高い外出時のみの携行や、自転車間の使いまわしが容易になります。多分。
余談ですが、鍵としてABUSのダボ穴に取り付けられる簡易ワイヤーロックがあるのですが、QRケージマウントのフレーム側に共締めすると多分QRケージマウントの取り外しレバーが降りなくなります。アクセサリ側に鍵付けるという選択肢はありますが。
K3/K9Xのトップチューブ活用まとめ
個人的には日常はマルチユースマウント、遠乗りや旅行時はトップチューブバッグにツール類放り込んでの運用で落ち着いていましたが、マルチユースマウントが経年劣化で破断したため(粗悪品……)、平時は何も取り付けないケースが増えており、なんかいいもの無いかなと模索中。
ぶっちゃけ個人的には走行性能云々より「なんか効果的に使えるアクセサリが無いか」みたいなのを考えてる方が楽しかったりします。K3は非常にガジェット味が強くカスタム欲を刺激される乗り物ですが、アクセサリ取り替えでモードチェンジ可能とか燃えないわけがなく。
バイクパッキングブームで色々商品出てきてるので、探せば面白いものがありそうです。