奈良自転車道は、奈良県奈良市東向中町から生駒郡斑鳩町法隆寺までを結ぶ約21.9kmの大規模自転車道です。東大寺平城京法隆寺と奈良の寺社史跡欲張りコースになっています。2022年12月24日走破。
奈良自転車道の基本情報
正式名称は奈良県道266号奈良西の京斑鳩自転車道線。
通称奈良自転車道。
昭和58年(1983年)時点で全線整備完了済み。その後も2011年制定の奈良まほろばサイク∞リング(略称:ならクル)のC7、C9、C13として、また令和3年(2021年)開通の京奈和自転車道の一部としても組み入れられる継続的に整備が続けられています。
起点 | 奈良県奈良市東向中町(近鉄奈良駅前) |
終点 | 奈良県生駒郡斑鳩町法隆寺(法隆寺南大門前) |
起点は近鉄奈良駅の目の前。JR奈良駅からも1kmほど。奈良の中心地です。終点はJR大和路線法隆寺駅が近そうな気がしますが距離は3kmほど、大和小泉駅の方が1kmほど近い。
奈良の中心地、奈良駅近くの奈良県奈良市東向中町を起点として、奈良県庁前、興福寺から奈良公園の鹿、東大寺横と大回りで通過し、奈良ドリームランド、古墳群横を抜け、平城京のど真ん中を通過。秋篠川沿いを走り唐招提寺横を抜け、郡山城跡横を通り、富雄川沿いを走った後、終点法隆寺南大門前まで至ります。
富雄川沿いの県道9号線交差点で飛鳥葛城自転車道と接続しています。また、秋篠川沿いを中心に京都から和歌山を結ぶ全長180kmの京奈和自転車道(奈良県道280号大和青垣吉野川自転車道線)の一部として整備されています。
奈良自転車道を走る
奈良と言えば京都と並ぶ近畿が誇る日本の古都であり観光地です、ということは当然平地が多く、寺社や史跡が点在しているということでして。平成23年(2011年)の奈良まほろばサイク∞リング(略称:ならクル)(サイト削除のためwaybackmachneリンク)の制定等、大規模自転車事業に限らず力を入れています。その分情報の更新が激しく、先のリンクが無くなってる通りお役所仕事で情報が散逸しがちでもあるのですが。
地元から阪神なんば線経由で近鉄奈良線へ到着、いそいそと始点へ向かいます。
事前情報でも確認していましたが標識らしきものは無し。普通の歩道でしかありませんが、地図を頼りに奈良県庁近辺のこの辺が起点だろうというあたりからスタートです。
6車線の県道754号線を挟んで反対側に興福寺が見えますが、こちらには奈良名物の鹿が大量に屯っております。奈良公園までずっと鹿ゾーン。鹿せんべい買った人がめっちゃ囲まれる。
とりあえず歩道を東進し、奈良公園前のT字路で左折し東大寺方向へ北進。このあたりは観光案内の標識こそあれ、自転車道的な標識はありません。転害門前で更に左折、この辺りは道わかってないとそもそも辿れない。そして完全町中の道を進んだところで、初めての自転車道標識が登場。
なんか妙にぶつ切れ表記ですが、間違いなく奈良自転車道の標識です。やっと自転車道の確信を得たものの、道は相変わらず普通の市街地を進みます。300m程進んだ法蓮仲町交差点で右折しますが、やはり標識などは無いため知らないと曲がれない。県道44号線沿いに鴻ノ池方面を目指します。
道中ちょいちょい標識もあり1.5kmほど。平城宮行きの左折指示表示板が見えるまで進みます。
ここでいかにも自転車道らしい、結構年季の入った案内図が初登場。だいぶ剥げてますが路面もグリーン舗装されており、間違いなく自転車道であることをアピール。奈良自転車道はここから本番という感じ。舗装も一気に自転車道らしくなり、路面に標識プレートが埋め込まれていたり、標識の登場頻度も一気に上がります。
途中、行き先がマスクされた標識が。示す先にあるのは2006年に閉園した奈良ドリームランド。かのディズニーを激怒させたとかいう話もありますが、元々遊園地自体が斜陽であったところをUSJに引導を渡される形で閉園。長らく買い手もつかず放置され、一時は国内有数の有名廃墟などと呼ばれていましたが、現在は既に解体されて綺麗に更地になってます。現在は駐車場という、明らかに持て余してる使い方をされている模様。
何世代か整備されたようで、アルファベットロゴの入ってる標識は割と後期型っぽい。
路面状況はだいぶ年季が入っておりぼちぼちといったところ。奈良の中心近いのですがめちゃめちゃ郊外感のある道になっております。微妙な上り下りがありやたらぐねってはいますが、結構力入れて整備されてた感があります。
JR大和路線が見えたら山間側の道は一旦終了、JR線路下を潜って、更に奈良バイパス下のトンネルを抜けて折り返します。
道はしばらく一般道ぽくなりますが、近年よくみる青羽根等でご案内。前方後円墳が密集する古墳群へ向かいます。なお、この辺りは京奈和の一部でもあり、しばらくの間奈良自転車道と京奈和自転車道の標識が両方現れます。ならクルの標識は奈良中どこでも出てきますが、このあたりはC7。
古墳群周辺を抜けると平城宮跡へ向かいますが、途中謎のダート区間があったりちょっと道が怪しくなります。平城宮手前あたりはちょっとコースミスし易い感じ。
そして道は平城宮ど真ん中を突っ切ります。すみっコを掠っててルートを変更するしないの騒ぎになってる近鉄とは大違いだ。
平城宮跡を抜けると、道路向こうの真正面に標識が現れるので素直に従って南進再開。近鉄奈良線を越えてすぐ曲がり線路沿いに秋篠川へ。この辺りは目玉ポイントの直ぐ側であり、京奈和自転車道としての整備もあって非常によく整備されております。
秋篠川沿いは非常に走りやすいのですが生活道路でもあるので交通量そこそこ。3kmくらいしかないんですが、このあたりの区間が一番走りやすいです。
九条公園近くで橋を渡り、秋篠川を離れます。曲がるべきところは道がグリーンに舗装されており、ガッチリ誘導してくれるので安心。なのですが、何を考えたか普通に行き過ぎて引き返す羽目になりました。地面の様子が変わったらしっかり見ましょう。
川を離れるとしばらく県道9号線沿いに一般道の歩道を走ることになります。基本標識の案内があるのですが、北郡山交差点はこれといった目印がなく直進してしまい、しばらく進んで引き返す羽目に。よく見れば交差点の中の青矢羽が右に曲がっているのですが初見でこれ気づくのはなかなか……。
郡山城跡を抜けるとちょっと登り坂になり、その後グリーンの舗装路が登場します。ただしそんなに長く続かない。交差点を曲がるのも標識に従えばいいのですが、正直どっち向いてるのかちょっとわかりにくい。地図と若干にらめっこしました。
富雄川までやってきたら、富雄川沿いに進みます。しっかりグリーン舗装されており自転車道感はバッチリ。
道なりに進むと飛鳥・葛城自転車道との合流地点を示す標識があり、富雄川を離れ右折して法隆寺方面へ。またしばらくは車道沿いの歩道を進むことに。
法隆寺に近づいたところで県道9号線を離れ、横道へ。この辺りは自動車の交通量もなく、途中からはほぼ専用道っぽくなります。
道を抜けたところに最後の標識があるのですが、ここは終点ではない模様。地図を見ながら法隆寺周辺の細い道を進んでいきます。観光客が多いと通るの大変そうだ。おそらくですが、法隆寺南大門少し南東、案内板の手前にある自転車マークの道路標識が終点。
着いたのはほぼ昼時。法隆寺南大門近辺には食事処やカフェが並んでおり、観光地価格で「茶粥」をいただいて奈良自転車道の行程は終了です。
奈良自転車道のまとめ
なぜこれだけ整備しておきながら起点と終点にこれといった標識が無いのか?はかなり謎ではあるのですが。道中は何世代かの標識や案内図が整備されており、力が入っているのは見て取れます。とはいえ世代を重ねているせいか案内のルールが統一されておらず、若干コースミスし易いところがあります。
道は一般歩道っぽいゾーンも多いですが、専用道は京奈和の影響もあってかなりしっかり整備されていますし、歩道もエリアによってはカラー舗装ばっちり。やはり一貫性がなく距離が続かないのは難点ですが。言い方を変えればバラエティに富んでるといえなくもない……か?
観光道路としての見どころは多数。奈良公園からあぶれた鹿に始まり、東大寺に寄ることも出来、ドリームランドは既に廃墟としても消滅してしまいましたが自然たっぷりの郊外コース、更に古墳群を眺め、最大の見所であろう平城宮ど真ん中を突っ切り、走りやすい川沿いコースが有り、最後は柿食えば鐘が鳴るなり法隆寺。
ロードで走る自転車道としては正直イマイチ感がありますが、ミニベロでの物見遊山観光走行であればなかなか悪くないのでは。振り返ると、全く意識してなかったのですが先人と写真撮ってるポイントが似通っており、そういう意味ではわかりやすい観光道路なのかも。